新潟の小6がつくった真田丸の模型、専門家が絶賛「すごい力作」

森嶋俊晴
【動画】新潟の小6が作った真田丸の模型、専門家が絶賛「すごい力作」=森嶋俊晴撮影
[PR]

 大坂冬の陣(1614年)で大坂城の南に築かれた出城「真田丸」の大型模型を、歴史好きな小学6年生の女の子がつくった。専門家から「すごい力作」と評価され、12月に横浜市で開かれるイベント「お城EXPO2021」で展示される。

 つくったのは新潟市立牡丹山小6年の鈴木絆奈(はんな)さん(12)。真田丸を築いた戦国武将、真田信繁(幸村)が登場するゲームが好きで興味を持ち、2016年に放送されたNHK大河ドラマ「真田丸」を今夏、家族で見た。「いろんな仕掛けをつくって、徳川軍に一矢報いたところがかっこよかった」「最後に真田丸の堀が埋められたのが本当に悔しい。あの堀を再現したい」。夏休みの自由研究として模型づくりに取り組んだ。

お手本は大河ドラマのオープンセット 「特典映像」繰り返し再生

 作品は縦60センチ、横90センチ、高さ約40センチ。「とにかく大きいのがつくりたい」とホームセンターで土台の板を選んだ。土台と同じ大きさの発泡スチロール(厚さ約2センチ)を削りながら14枚重ねて貼り合わせ、紙粘土で覆ってアクリル絵の具で着色。そびえ立つ半円形の城と、城を囲む巨大な堀、堀を渡る土橋をつくった。

 堀の外側の柵は竹串を、敵の侵入を防ぐために堀の斜面に張り巡らせた柵「逆茂木(さかもぎ)」は祖父母の家の庭の木の枝を使った。城を囲む2層のやぐらや、城内の兵舎は食品トレーでつくった。銃口を出すためのやぐら側面の開口部「狭間(さま)」や、床の開口部「石落とし」も再現。真田家の旗印「六文銭」が描かれた赤い旗を並べた。

 参考にしたのは、大河ドラマのDVDに収録された特典映像だ。城郭考証を務めた千田嘉博・奈良大教授(城郭考古学)が、ドラマで使ったオープンセットを歩きながら、真田丸の工夫の数々を解説していた。

 設計図はつくらず、映像を繰り返し見ながら発泡スチロールを少しずつ削り、堀の深さ、城の大きさを決めていった。制作期間は1週間ほど。途中で「柵が高すぎて堀や城が小さく見える」ことに気づき、やり直したこともあった。絆奈さんは「模型をつくったことで、堀の重要性や真田丸のすごさが実感できた」と話す。

夏休みの自由研究 廊下に展示され注目集めたが・・・

 歴史が好きになったのは、小学2年生のころ。たまたま図書室にあった城の図鑑を手にしたのがきっかけだった。4年生のときに家族旅行で犬山城(愛知県犬山市)を訪れた。国宝の天守を見学し、「今の時代に造り直されたお城とは雰囲気が全然違う」と心を動かされた。

 その年の夏休みの自由研究で、段ボールや割りばしを使って犬山城の模型(縦25センチ、横30センチ、高さ40センチ)をつくった。学校代表として新潟市内の小学生の作品展に出品され、入賞した。

 真田丸の模型も、代表に選ばれるかな。淡い期待を抱いていた。学校から貸与されているタブレット端末で20枚の資料をつくってクラスで発表した。大きすぎて教室内には飾れず、廊下に展示されると、ほかのクラスの子どもたちが次々に見学にきた。

 でも、代表には選ばれなかった。

 作品展の募集規定が4年生のときとは変わり、「理科学習、自然科学に関係する内容であること」となったからだと、後から聞いた。

 模型づくりを見守った父正実さん(48)は、落ち込んでいる様子の絆奈さんをどうすれば元気づけられるか考えた。

専門家が驚いた出来栄え 「城の立体的なかたちを正しく理解」

 絆奈さんは、お城を紹介するテレビ番組に出演している千田教授のファンだった。「絆奈の好きな千田先生に真田丸を見てもらおうか」。声をかけると「千田先生、見てくれるかな」と目を輝かせた。

 しかし、つては何もない。奈良大のウェブサイトで公開されている大学のメールアドレスに、動画と写真を添えてメールを送った。娘が模型をつくった経緯を説明し、最後にこう書いた。

 「お忙しいところ、本当に申し訳ございません。ぜひ娘の自由研究を見てあげてください。親バカですみません」

 千田教授はメールが手元に届いたその日に返信した。

 「城の立体的なかたちをどう頭の中で正しく捉えるかは、とても大きな課題です。研究者でも難しいその課題を、絆奈さんが自分自身で考えて3次元の真田丸の構造を模型のように理解したのは、本当にすばらしい」

 作品は12月18~19日に横浜市西区の「パシフィコ横浜ノース」で開かれるお城EXPO2021で展示される。日本城郭協会などでつくる実行委が主催し、全国からお城ファンが集まるイベントだ。真田丸の模型は協会のブースで見ることができる。

 協会の会員になった絆奈さんは「千田先生に見てもらえただけでめっちゃうれしいのに、展示してもらえるなんて信じられない。将来は歴史学者になりたい」と夢をふくらませている。(森嶋俊晴)