大阪地検、邸宅侵入事件の起訴を取り消し 別の日の動画を証拠に

米田優人
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 大阪地検は22日、昨年10月に邸宅侵入罪で在宅起訴した男性(30)について、起訴を取り消し、発表した。関係者によると、犯行を裏付ける有力な証拠としていた動画が、事件とは別の日付の動画だったという。

 関係者によると、男性は2017年11月、正当な理由がないのに府内のマンションの建物内に侵入したとして、邸宅侵入罪で昨年10月に起訴された。男性は、起訴内容について「わからない」などと述べ、弁護側は否認していた。

 検察側は、携帯電話でマンション内を撮影したとされる動画をもとに、男性がマンションに侵入した日時を特定したと主張。この動画を有罪立証の柱に据えていた。弁護側が、この動画に疑義を唱えていた。大阪府警が改めて映像を解析したところ、撮影日が約2カ月前の17年9月だったことが分かったという。

 刑事訴訟法によると、邸宅侵入罪の時効は3年。侵入した日付が9月であれば、男性を起訴した昨年10月の時点で、すでに時効が成立していたことになる。

 地検は「改めて関係証拠を精査した結果、被告による侵入日時が異なることが判明した」と説明。起訴を取り消した理由について「既に公訴時効が完成していることが分かった」としている。

 男性の弁護人の赤嶺雄大弁護士によると、地検から今月、起訴を取り消す方針を伝える文書が送られてきたという。赤嶺弁護士は「不正確な解析結果をもとに起訴したのは問題だ。起訴から1年以上、なぜ誰も誤りに気づかなかったのか。同じような不正確な解析を根拠にして有罪となるおそれがあり、冤罪(えんざい)につながりかねない。しっかりと検証し、説明してほしい」と話した。

 男性は別の罪でも在宅起訴されており、大阪地裁で証拠や争点を絞り込む公判前整理手続きが続いている。(米田優人)

過去にも取り消し、謝罪も

 検察統計によると、昨年1年間に全国の地検と区検で起訴を取り消したのは21件。被告が死亡したり、心神喪失で罪に問えなくなったりしたケースを除くと7件しかない。

 大阪地検は2013年、給油カードを使ってガソリンを盗んだとして大阪府警に窃盗容疑で逮捕された男性会社員について、起訴を取り消した。地検は、防犯カメラの撮影時刻が実際の時刻と約8分違っていたのに、時刻のずれなどを調べず、思い込みで男性を起訴したとして謝罪した。

 東京地検でも今年7月、軍事転用可能な機械を無許可で輸出したとして、外国為替及び外国貿易法違反などの罪で起訴した機械メーカーの幹部2人の起訴を取り消している。