キッシンジャー氏、「ホロコーストにならないよう」 米中緊張に警鐘

ワシントン=園田耕司
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 米中国交正常化への道筋を作ったことで知られるキッシンジャー元米国務長官は21日、CNNのインタビューで、現在の米中関係について「我々の課題は、状況がホロコースト(大量殺戮(さつりく))にならないようにしながら競争できる関係を見つけることだ」と述べたうえで、「紛争の難しさは、どのように始めるかではなく、どのように終結させるかにある」と強調。米中関係の緊張の高まりに強い警鐘を鳴らした。

 15日にはバイデン米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が初めてオンライン形式で会談した。キッシンジャー氏は、米国内でのバイデン氏の立場について「バイデン氏は難しい問題を抱えている。だれもが対中タカ派になることを望んでいる」と指摘。バイデン氏が中国との衝突回避に力点を置き始めていることを念頭に、「(以前と)異なるトーンの方向に動き始めている。これは中国に屈するという意味ではない。共通点について話し合うことができるレベルを見つけようとする試みだ」と評価した。

 一方、台湾問題について「中国が台湾を統一し、究極的に『一つの中国』を作ることは中国の政策目標だ」と指摘。ただし、中国の武力による台湾統一については「私は(中国が)今後10年間、台湾に対して全面的な攻撃を行うとは考えていない。中国は台湾の自治能力を弱体化させる措置を取るだろう」と語った。

 キッシンジャー氏はニクソン政権の大統領補佐官として極秘訪中し、ニクソン大統領の1972年の電撃的な中国訪問の段取りをつけた。現在98歳のキッシンジャー氏は当時のニクソン氏と毛沢東主席の会話を振り返り、毛氏が台湾問題の解決について「我々は100年間待つことができる。この時点で議論する必要はない」と語ったことを明らかにした。

 歴代米政権は、将来的な民主化を期待して中国を国際経済体制に組み込む「関与政策」を続けてきたが、きっかけはニクソン訪中にさかのぼる。しかし、トランプ政権以降、米国は中国に経済的・軍事的な競争で勝利するという「競争政策」を行っており、ワシントンではキッシンジャー氏の歴史的業績を否定的にとらえる見方も強まっている。(ワシントン=園田耕司

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    古谷浩一
    (朝日新聞論説委員=中国政治、日中)
    2021年11月23日10時6分 投稿

    【視点】キッシンジャー氏は米中関係に今日のような日が来ることをかなり前から予想していたのかもしれない。 1979年に出した回想録のなかでニクソン電撃訪中につながる自らの秘密訪中(71年)についてこう書いている。 「(周恩来も私も)将来歴史を振り