日本経済にとって新しいビジネスや産業の創出が課題になっている。政府の「新しい資本主義実現会議」がまとめた緊急提言でもスタートアップ支援の必要性が盛り込まれた。国内のスタートアップは東京に集中するなか、関西で増やしていくにはどうすればいいのか。スタートアップ支援を手がけるNPO法人「生態会」理事長で、ベンチャー投資家のアレン・マイナー氏に関西の課題などについて聞いた。
生態会(大阪市) 関西の起業エコシステム(生態系)の活性化を目指すNPO法人。2018年設立。気軽に起業相談ができるイベントの開催のほか、関西の有望ベンチャーを一覧できる「関西スタートアップレポート」を年4回発行して情報提供するなど、ベンチャー支援に幅広く活動している。
――関西のどこに魅力を感じて、スタートアップ支援に取り組んでいるのですか。
「京阪神がそれぞれの強みを理解しあっていて、競争より協業のマインドを感じます。関東人という言葉はあまり聞きませんが、関西人という言葉はよく聞きますよね。そんな『関西人という心の広さ』にひかれました」
――京都には日本電産や任天堂など、世界的な企業も多くあります。
「イノベーティブな大企業があって優秀な学生も外国人もたくさんいる。米国のシリコンバレー的な要素が京都にあると思います。大阪には『関西地域の首都』という意識がありますよね。東京都が横浜市のために予算を使うことは考えにくいですが、大阪市のためになるのであれば、大阪市が京都や神戸のためにも起業支援のプロジェクトをやっていることは面白いなと思いました」
――しかし現状では、スタートアップは東京に集中しています。
「起業しようと思って、資金があるところに(お金を)調達しにいくのは自然な判断です。(東京に比べて資金調達のハードルが高い)関西で起業するというのは、勇気やある種の頑固さがいるのかもしれません。でも、そんな人たちが成功し続けることで、少しずつスタートアップのエコシステム(生態系)ができていくと思っています」
――関西でスタートアップを活性化するための課題は何でしょうか。
「大阪は、政府が掲げる『国…
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