小児がんで亡くなった12歳少女の生涯が映画に 病床で絵を描く

佐藤英法
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 小児がんで12歳で亡くなった広島県福山市の森上翔華(もりかみしょうか)さんの過ごした日々を伝える映画「神様まって!お花が咲くから」が制作されることになった。少女が病床で残した絵は、絵本として出版された。「翔華さんはたくましく生きた。小さな絵本作家の生きた証しを映画にしたい」と遺志を受け継ぐ。

 プロデューサーでタレント、とめぞうさん(53)=福山市=と松村克弥監督(58)が10月22日、福山市内で記者会見を開き、映画の制作を発表した。今後、主要キャストを決め、来年春ごろに福山市や府中市、神石高原町などで撮影を始める。現地で小学生らのエキストラを募る予定。松村監督は翔華さんが通った福山市立手城小学校の担任らに取材をして構想を練った。「翔華さんは周りを勇気づけられる物語を描いた。生きることの大切さを翔華さんを通して感じてほしい」と話した。

 松村監督は太平洋戦争特攻機「桜花(おうか)」を題材にした映画「サクラ花―桜花最期の特攻―」や、被爆地・長崎を舞台にした映画「祈り―幻に長崎を想(おも)う刻(とき)―」などを手がけた。命の大切さを見つめてきた。

 遺族によると、翔華さんは5歳のとき、左足にこぶが見つかった。精密検査で悪性腫瘍(しゅよう)とわかり、岡山大病院(岡山市)への入退院を繰り返した。抗がん剤で髪の毛が抜けても明るく振る舞った。

 ベッドから立ち上がる体力が衰えても、絵を描き、物語を紡いだ。主人公の「そらまめさん」が家族と一緒にピクニックに出かけたり、スカイダイビングにチャレンジしたりする。「スカイダイビングをやりたいな」と病床でも願った。絵の具を自分の足裏に塗り、画用紙にあてて約3カ月かけた。

 翔華さんの腫瘍は転移し、背中に激痛が走った。「まだ死にたくないんだ」とベッドの柵を握りしめた。2019年1月、最後に大きな息をして12年の生涯を閉じた。闘病を支えた小児病棟の保育士たちは絵本に残そうと、クラウドファンディングで資金を募り、19年12月24日、「そらまめかぞくのピクニック」という絵本になった。絵本はクリスマスプレゼントとして、全国の小児病棟などに届けられた。

 絵本を読んで映画化に動いた、とめぞうさんは「翔華さんは生きることを楽しもうとしたと思う。絵本は生きる勇気の種となって多くの人の心の中で育っているはず。壁にぶつかって元気のない人に映画を見てもらいたい」と話している。(佐藤英法)