第13回【新聞と戦争・アーカイブ】社論の転換:12 その要因

有料会員記事

[PR]

【2007年8月20日夕刊3面】

 満州事変が起きる少し前、29年から30年にかけて陸軍省で新聞対策を担当した樋口季一郎・新聞班次席は、戦後にこう回想した。

 「言論機関は、当時の貨幣で資本金何千万、何億を擁する大機関であり……私共には半台の輪転機もない」から、「陸軍が彼らと言論的に対抗するなどは絶対に不可能なことであった」(著書『アッツ、キスカ・軍司令官の回想録』)。

 軍関係者にとって当時、新聞は大きな力を持つ存在に見えていた、という証言だ。

 事変直前の31年8月4日、陸軍大臣の南次郎は、新聞などを非難する訓示をした。

 「軍備の縮小を鼓吹し国家国軍に不利なる言論宣伝」が少なくないとして、南は軍縮論の主張に不満を表明。そのうえで陸軍全体に「此等(これら)謬論(びゅうろん)(誤った論)を是正」するよう求めた。

 陸相がこう訓示したのは、そのころ、陸軍が縮小されるかどうかの瀬戸際にあったからだ。

 ロンドン軍縮会議で海軍の軍…

この記事は有料会員記事です。残り711文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

連載新聞と戦争アーカイブ(全107回)

この連載の一覧を見る