第96回【新聞と戦争・アーカイブ】政経記者たち:3

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【2007年11月21日夕刊3面】

 大阪朝日の編集局長、高原操は1932年2月9日、日記にこう記した。

  十時出社、十一時部長会議、尾崎君上海事件報告

  正午、大阪クラブ(略)

  井上準之助氏(某氏の選挙応援のため行く)駒込小学校にて 暗殺せらる(午後八時)

 「尾崎君」というのは、上海特派から戻ったばかりの尾崎秀実(ほつみ)のことだ。「上海事件」は1月28日に起こった第1次上海事変を指す。

 「大阪クラブ」は、関西財界人が集まる場所で、高原は毎日のように関西財界人と昼食をともにし、情報交換に努めていた。このころの財界は旧平価解禁論が主流だった。

 金解禁と世界恐慌が呼び寄せた昭和恐慌は、テロリズムを育てた。30年11月には金解禁を断行した浜口雄幸首相が狙撃され、高原が日記に記したこの日、井上前蔵相が暗殺された。

 犯人は小沼正、20歳。茨城…

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