第29回【新聞と戦争・アーカイブ】社論の転換:28 別の道

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【2007年9月11日夕刊3面】

 満州事変が起きて1カ月あまり、東京朝日は「時局を検討す」の連載を始める(全11回。第1回は31年10月26日付朝刊、第2回以降は夕刊)。東京帝大教授(国際政治)の神川彦松は「国際連盟と協力する政策以外に途(みち)無きことは明瞭(めいりょう)」と述べて、満州を連盟の委任統治とすべきだと主張。陸軍出身の貴族院議員、坂西(ばんざい)利八郎は「すべてを事変発生以前に引戻(ひきもど)(す)」ことだと論じた。

 当時も世論は、強硬論一色ではなかった。陸軍の幹部にも慎重論があった。

 参謀次長の二宮治重は、関東軍司令官・本庄繁に対し「(政府・国民は)不公正なる或(あるい)は無理なる軍の行動を見んか何時離反するやも知れす……『過きたるは及はさるに如(し)かす』」と私信で懸念を伝えた(『太平洋戦争への道 資料編』)。

 新聞にとって、軍部の行動を追認するだけが選択肢ではなかった。なのに、なぜ「一律に出兵謳歌(おうか)に傾い(た)」(吉野作造)のか。

 事変勃発(ぼっぱつ)時の外…

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