第30回【新聞と戦争・アーカイブ】社論の転換:29 別の道
【2007年9月12日夕刊3面】
満鉄線爆破事件から11日。31年9月29日の東京朝日は、満州の中国人は「満洲独立国」の建設を目指すことで意見が一致している、と報じた。
中でも最も実現性の高い独立計画を持つのは奉天の「地方維持委員会」だと紙面は伝え、同委の中心人物である袁金鎧(えんきんがい)の写真を載せた。
関東軍は当時、満州に日本の傀儡(かいらい)国家を作る工作をひそかに進めていた。同委も、関東軍が作った組織だった。だが、記事は日本人の工作を伝えず、関東軍は「関与せざる」態度だ、と書いた。
同じころ、米国のジャーナリストであるエドガー・スノーが、奉天で袁に取材をした。
「ここではすべてが日本人顧…