地域限定で現れる雲「六郎」、高校生が発見したメカニズムとは
冬の季節、ある地域にだけ現れる、特別な雲がある。名前は「琵琶湖六郎」。発見し、「謎解き」に挑んだのは高校生。「六郎」が現れる気象メカニズムとは――。(加藤あず佐)
11月の青空 最長50キロ、部長は息をのんだ
空の観察を始めてから半年、その雲は突然現れた。
昨年11月28日、午前7時半。竜のような雲が青空に浮かんでいた。光泉カトリック高校(滋賀県草津市)自然探究部の馬場智哉部長(2年)は、校舎の4階に駆け上がり、思わず息をのんだ。雲は比叡山に沿って南北に水平に、見渡す限り伸びていた。集まってきた部員たちと、授業が始まるまで見上げた。そして、決めた。「この雲のこと、徹底的に調べてみよう」
顧問で気象予報士の資格を持つ村山保教諭に誘われ、昨年6月ごろから毎朝、雲量、雲形、雲の伸びる方向を一緒に記録してきた。その後も観察を続けると、同様の雲は2月末まで度々出現。空を覆うように、筒状に渦巻く大きな雲が出た日もあった。昨年度、観測できたのは16回。早朝から午前9時ごろに見られた。
馬場さんは天気図を分析。この雲が出たのは、冬型の気圧配置の日だった。特に大きな雲は衛星画像からも確認でき、長さは約50キロに及んでいた。
顧問の先生はこの雲を「琵琶湖に住んでいるような雲」と表現しました。琵琶湖に住んでるとは?後半では、高校生が「謎」に迫ります。さらに、高校生が雲の仕組みを解説する動画もあります。
比叡山と琵琶湖が影響? 名付けて「琵琶湖六郎」
雲は、地形や風の影響で気流が波打つことで発生する「ローター雲(うん)」と分かった。
部員の松本優佳さん(同)は、滋賀の地形に当てはめて図式化。西寄りの風が比叡山に直角方向にぶつかると、風が波打つ。さらに上空には大気の上昇を抑える安定層があるため、下流側に波が継続的に形成され、回転する気流が発生する。そこにローター雲が形成されるというものだ。
地形の特徴が似ている京都盆…