「行きつけの畑」で広がる笑顔 農業やピザ作りでつながる人の輪

西江拓矢
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 さまざまな人が集い、笑顔になれる「行きつけの畑」を作りたい――。大阪府羽曳野市で、新規就農者の川崎佑子さん(38)が2年前に始めた「七彩(なないろ)ファーム」。農と食に触れる体験を通して、出会いやつながりが生まれる場所づくりを目指している。

 11月初旬、農園であったピザ作り体験。親子連れらが生地に自家製トマトソースを塗り、トマトやズッキーニ、カブ、ニンジンなど好みの具材をのせた。まきで熱した窯で焼いた熱々のピザを口にすると、「おいしい」と、参加者たちに笑顔が広がった。

 川崎さんは大阪府枚方市出身。実家は農家ではないが、環境に興味があり、食べることや外で体を動かすことが好きで、農業にも関心があった。大学卒業後、数年間、学習塾に勤めたが、室内での仕事ばかりだったこともあり、思い切って農業の世界に飛び込むことを決意。ネットで調べた府の農業大学校(羽曳野市)で2年間、技術や経営を勉強した。

 農業大学校を出て、実習先だった農業法人に就職した。羽曳野市内の畑を任され、5年間、野菜作りに奮闘。熱心な姿勢が地元の人に認められ、現在の農地を引き継いで、2019年春に独立した。

 「一人で黙々と作業するのではなく、みんなで協力したいし、おもしろいこともやってみたかった」と川崎さん。さまざまな人に気軽に来てもらい、交流できる場所にしたいとの思いを込めて「七彩ファーム」と名付けた。化学肥料、化学合成農薬を使わずに、イチジクや野菜を栽培。価値を伝えてくれる小売店や直売所などで販売している。

 畑を手伝ってくれる人をSNSなどで募ったところ、思いに共感した人が集まった。一緒に汗を流し、農園の野菜を使った昼食を食べ、新鮮な野菜をお土産に持って帰ってもらう。リピーターも増えた。

 家族、友人らと手伝いに来ている堺市の40代女性は、「自分で家庭菜園をやるには、毎日の世話のハードルが高い。ここでは、時間が空いたときに手伝える。収穫だけでなく、がっつり土が触れるのでありがたい」。

 農園の目玉として作ったのが、ピザ窯だ。「行きつけの畑」を作りたいと、クラウドファンディングで資金を募った。支援者らと一緒に耐火れんがを積み、今年の夏に完成した。

 ピザ焼き体験のほか、ソラマメを使ったトウバンジャン作り、染め物ワークショップなど、イベントもさまざま。管理栄養士の資格を持つ辻有貴さん(30)が昨春、スタッフに加わり、ともに盛り上げる。

 農園では今後、仲間と協力し、加工品として野菜を使ったスープやドレッシングも作りたいという。「個人の農家で完結する時代じゃないし、それではおもしろくない」と川崎さん。つながりを楽しみながら、さらに輪を広げていきたいという。

 農園の情報は、七彩ファームのホームページ(https://nanairofarm.amebaownd.com/別ウインドウで開きます)。(西江拓矢)