「うまいビール飲みたい」 酒好き元会社員が小豆島を選んだわけ

紙谷あかり
[PR]

 今年のかがわ県産品コンクールの最優秀賞に、小豆島産のしょうゆのもろみを使ったクラフト黒ビール「くろまめまめ」が選ばれた。手がけるのは2016年に香川県小豆島へ移住した醸造家の中田雅也さん(38)。「体の半分はビールで出来ている」という中田さんに、地ビール造りのきっかけや今後の展望を聞いた。 ――地ビールと関わるきっかけはなんでしょうか

 大学4回生のときに、留学先の米ニューヨーク・ブルックリンで飲んだビールです。こんなにおいしいビールがあるんだと。帰国してからも旅行のたびに地ビールを探しました。もともとビールは大好きでしたが、いろんなスタイルがあることを知り、どんどんはまっていきました。

 ――ビール造りの道にすぐには進まなかったのですね

 「一回社会にもまれたほうがええんちゃうか」といろんな方に言われて、新卒で広告会社に就職しました。でも「毎日うまいビールが飲みたい、ビール屋をしたい」って同僚にもずっと言っていました。働きながらビール関連の仕事を探したのですが、求人が全然ありませんでした。

 会社員7年目のときに、犬島(岡山市)で働いていた妻から、「岡山で面白いことをやっているビール屋さんがある」と聞き、行ってみました。岡山の原料を使い、岡山でしか販売していないという話に感動したんです。自分もビールを造るときは地元の素材を使おうと思いました。退職して、1年間この醸造所で修業して、小豆島に来ました。

 ――なぜ小豆島

 最初は原料がおいしい場所でと思っていたんですが、「ビーチで友だちとバーベキューしながら飲むビールは絶対うまいよな」と思って、海を第1条件に探し始めました。

潮風がビールのアテ

 関西圏が良かったので、和歌山や京都、淡路島にも足を運びましたがぴんとくるところがなかった。妻や友人に小豆島を薦められて、とりあえず島を1周したら、すごく良かった。ビールを飲んでみたらうまかったんですよ。潮風がアテになる。住んでみて、ますます良さを実感しています。景色にも癒やされますし、ご近所さんも良くしてくれて、子どもたちはのびのび遊んでいる。だからがんばれますね。

 ――「まめまめびーる」の定番は4種類ですね

 「あか」「くろ」「しろ」「きん」です。ビールを知っている人にしか分からない名前はつけたくなかったんです。色の名前だったらわかりやすいかなと。

 ――今年、念願の小豆島の原料100%ビールが完成しました

 「いつか全部小豆島産で造りたい」と思っていましたが、予想以上に時間がかかった。麦が麦芽にできなくて、1年目はほんまに泣きそうでした。2年目はホップをあまり収穫できませんでした。酵母はずっと探し続けていたんですが、去年、島のしょうゆ屋「ヤマヒサ」さんがビールに使えるオリーブの花の酵母を見つけてくれ、ようやく原料がそろったんです。

 ――今後の目標は

 ビールを造ってみたい、売ってみたいと思っている人が島に結構います。ならここで造っちゃえばいいやんって。レシピを考えてビールを造れる「みんなのブルワリー」にしたい。島のゲストハウスやカフェの人と一緒に、そこでしか飲めないビールを造りたいです。(紙谷あかり)

     ◇

 なかた・まさや 大阪府枚方市出身。2016年5月に小豆島に移住し、妻の史子さんと17年4月に醸造所「まめまめびーる」(0879・62・8670)をオープン。名前の由来は小豆島の「豆」と、「まめまめしくありたい」。営業時間は正午~午後5時。火、水定休。土日祝日午後5~11時には、坂手港近くで「きまぐれびーる屋台」も営業。