4番ラオウ「世界を変えた」 オリックス惜敗も打線は上昇気流

伊藤雅哉
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(23日、プロ野球日本シリーズ第3戦 東京ヤクルトスワローズ5―4オリックス・バファローズ)

 オリックス打線が元気を取り戻しつつある。中心にいるのは4番の杉本裕太郎。六回、一振りで東京ドームの空気を変えた。無死二塁から小川の147キロ直球を右方向へ流し打つと、本人の感触以上に打球が伸び、右翼席へ。

 この球場なら強く振らなくてもスタンドインできる。その自信があったから、「力を抜くことだけ考えて打席に立った」。守備のミスも絡んで逆転された直後の同点2ランは、紛れもない4番の仕事だった。

 シーズン開幕前、杉本のこんな姿を、誰が想像できたろう。

 第2戦までの舞台となった本拠・京セラドーム大阪の最寄り駅に、球団が開幕前につくった巨大広告がある。吉田正尚山本由伸ら「今季の顔」といえる12選手の写真のなかに杉本はいない。今年の球団のカレンダーでも、杉本は12月のページに5選手のうちの一人、「その他大勢」として載るのみだ。昨季までの5シーズンで通算9本塁打の実績から見れば、当然か。

 徳島商高、青学大JR西日本を経て、24歳の遅いプロ入り。しかもドラフト10位の下位指名だった。転機は昨季途中に訪れた。目をかけてくれていた中嶋聡監督が2軍監督から1軍の監督代行へ昇格し、1軍での出場機会が増えた。

 今季の開幕は6番。ほどなく4番の座を奪い、本塁打王(32本)にまでなった。漫画「北斗の拳」の登場人物にちなんだ「ラオウ」の愛称もすっかり定着した。

 1年で世界は変えられる。昨季まで2年連続で最下位に沈んだ球団の対決になった今シリーズ。激戦のなかで4番を張る30歳の姿は、そう教えてくれる。伊藤雅哉

救援陣、痛恨

 オリックスは救援陣に不安を残す敗戦だ。

 勝ち越した直後の七回、4番手の吉田凌がマウンドへ。クライマックスシリーズ(CS)最終ステージからの4試合を無失点に抑えてきた24歳の右腕だ。1死一塁から最も警戒する村上をスライダーで空振り三振に仕留めた。難所を越えて、緩みが出たのか。サンタナに失投をとらえられ、逆転2ランを浴びた。

 1点リードの五回も救援陣がほころびを見せた。2死二塁から出たバルガスが逆転を許した。2四球が失点に絡んでおり、「あそこは勝負してほしかった」と中嶋監督。延長がある日本シリーズは救援陣のやりくりが大きなポイントの一つになる。打線に反発力が戻ってきただけに、急いで立て直したい。