〈建築家の安藤忠雄さんと音楽家の細野晴臣さんが対談した。安藤さんの設計した「こども本の森 中之島」(大阪市北区)のトークイベントで、親子づれら約70人が耳を傾けた〉
細野 「こども本の森」の周りを歩いて、理想的な都市の姿だと思いました。古い建物に公園もカフェもある。東京は巨大なビルばかりですが、こういうのがあれば、もう少しのんびり暮らせるんじゃないか。
安藤 中央公会堂の裏に府立図書館があり、近代的な市役所もあって、日銀もある。なかなかこれだけの建物が集まっているところはない。(景観に)リズムがある。
細野 建築と音楽って似ているでしょ。構造があって、数学も使うしね。
安藤 歩いていたら音楽の聞こえるような街にならないかなと思い、(建築を)やってきました。
細野 さすが、リズム感を持っていらっしゃる。
安藤 細野さんは子どもの頃から音楽を?
細野 蓄音機の針をSP盤に乗っける行為が面白くて。浪曲に歌謡曲、軍歌も3、4歳のころに全部聴いた。その中で、ジャズを好きになったんです。歌詞はわからなくても、子どもはリズムで選びます。
安藤 子どものときに音楽を聴くと、感性が磨かれる。生涯、心に残っていますから。細野さんは車の中で音楽を聴くそうで。
細野 近所が気になって、家…