米アップル、イスラエル企業を提訴 iPhoneへのスパイウェアで

ワシントン=高野遼
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 米アップルは23日、iPhoneなどを標的としたスパイウェア「ペガサス」によってユーザーの情報を盗み取られたとして、開発したイスラエルの企業NSOグループをカリフォルニア州の連邦地方裁判所に提訴した。同社をめぐっては米政府も今月、制裁対象に加えており、被害への警戒を強めている。

 NSOグループはイスラエルの民間企業で、スパイウェアを外国政府などに販売してきたとされる。「ペガサス」を使えば、標的とする人物のスマホから、通信内容などを秘密裏に盗み取ることができる。今年7月には各国メディアの合同調査報道で、仏マクロン大統領ら政治家やジャーナリストなどが標的とされていた疑いが報じられ、注目を集めていた。

 米アップルの訴状は、NSOグループを「悪名高いハッカー」だと非難し、「商業的な利益のために、顧客が製品を悪用して政府高官やジャーナリストなどを標的にすることを許している」と指摘。NSOグループによるアップル製品へのアクセスや利用を差し止め、スパイウェアの開発や使用を禁じることなどを求めた。

 訴状によると、「ペガサス」は無差別攻撃ではなく、メッセージ機能を通じて特定の狙った端末に感染する。その手法は「ゼロクリック」攻撃と呼ばれ、リンク先を押すなどの行為なしに、秘密裏に端末に侵入できる。侵入後はデータを盗み取るほか、端末のカメラやマイクを遠隔で作動させることもできる。

 米政府が今月3日にNSOグループを制裁対象に加え、米国からの輸出などを禁じる措置をとり、スパイウェアが専制主義国家によって反体制派やジャーナリストらを抑圧するのに使われる恐れを指摘していた。

 NSOグループに対しては、米フェイスブック(現・メタ)傘下のメッセージアプリ大手「ワッツアップ」も2019年に訴訟を提起している。NSOグループは、同社の製品は犯罪やテロの防止に役立つものだと反論してきた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、イスラエル政府は米政府に対し、制裁の解除を求めるよう働きかけているという。(ワシントン=高野遼)