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犯人の絞り込みに一役? 科捜研の職員、精度高いDNA鑑定法を開発

板倉大地
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 現場から検出されたDNAを使って、これまでのDNA型鑑定よりも高精度で個人を識別する方法が開発された。研究したのは、福岡県警科学捜査研究所(科捜研)の職員百田芙美さん(39)。成果が認められ、7月に九州大大学院から医学博士号が授与された。将来的に事件捜査への活用が期待されている。

 県警によると、科捜研で医学博士号を授与された職員は、女性では初めて。百田さんは2017年から、次世代シークエンサーと呼ばれる装置を使い、複数のDNAが混ざった「混合資料」から個人を識別する研究をしてきた。

 現在捜査に活用されているフラグメントアナライザーでの鑑定は、DNAを構成する塩基配列の特定部分の長さの違いから、個人を識別している。識別力は「最低でも565京人に1人」とされ、容疑者の特定に役立てられている。

 ただ、被害者など犯人以外のDNAが混ざっている場合、想定される塩基配列の長さが複数出来てしまうため、容疑者以外の関与を否定しきれないという。検出されたDNA以外に防犯カメラの映像や目撃証言、指紋などといった他の証拠がなく、容疑者になり得る人物が多数いる場合、個人を識別することは困難だ。

 そこで、百田さんが活用したのが、塩基配列を高速で大量に解析できる次世代シークエンサーだった。百田さんは塩基配列の長さではなく、中身に着目。長さが同じでも構成する塩基の種類が違ったり、一定の割合で変異した塩基があったりすることを利用し、より高精度で個人を識別することに成功した。

 百田さんは「犯人が絞りきれない場合などには研究が役立つと思う」。現在、次世代シークエンサーは捜査では使われていないが、科捜研幹部は「実現に向けた第一歩になる」と評価する。百田さんは「捜査に役立てられるように更に研究を重ねたい」と話した。(板倉大地)