サムスンが米テキサス州に半導体の新工場 背景には米中対立の激化

ソウル=神谷毅
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 半導体の世界大手、韓国サムスン電子は24日、米テキサス州テイラーに半導体工場を建設すると発表した。投資規模は170億ドル(約1兆9千億円)に上る。米中対立のあおりで半導体の確保が重要になるなか、サムスンは多くのハイテク企業がある米国で最先端の工場建設に踏み切る。

 最新の製造装置を採り入れた半導体受託生産の工場を新設する。2022年前半に着工し、24年後半から操業を始める予定だ。高速通信規格「5G」や人工知能(AI)などの分野に使われる先端のシステム半導体を生産する。

 建設場所については、米政府の補助金などをみながら選定していた。サムスンは同州オースティンにも工場を持っていることから、「二つの工場の生産ラインで相乗効果をもたらすことができる」としている。

 サムスン電子の幹部は「世界的な半導体の供給網の安定化につながるとともに、長期的に多様な先端半導体の需要に応える能力を確保できる」と語る。

 サムスン電子は半導体の売上高で世界2位。メモリー半導体ではトップだが、システム半導体でTSMCに後れをとる。今年5月には30年までにこの分野に171兆ウォン(約16兆円)を投じる計画を発表し、追い上げを図っている。微細化技術について、回路線幅が3ナノメートルの先端半導体をどちらが先に生産できるか注目されている。

 半導体をめぐっては、米中の対立が激しさを増すなか、米国には最先端の半導体をTSMCに頼ることへの危機感がある。ひとたび有事で供給が混乱した場合、米経済や軍事にも大きな影響をもたらすためだ。

 韓国はサムスン電子に加えて世界3位のSKハイニックスを擁する。このため「米国は水面下で頻繁に米国内への投資を呼びかけてきた」(韓国政府高官)。5月にはサムスン電子がワシントンでの米韓首脳会談に合わせ、今回の新工場建設の投資額にあたる170億ドル規模の計画を公表していた。(ソウル=神谷毅)