エグいけど泣ける絵本「ゾンビハムスター」 作者がしなかった妥協
杉田基
「ねずこ」と名づけられたハムスターは寿命で2年で死んでしまう。飼い主の男の子は庭に埋めるが、やりたいことがたくさんあったねずこは、ゾンビになって帰ってくる――。「エグいけど泣ける」と話題になっている絵本の内容だ。子ども向けながら、血のにじんだ包帯を巻くハムスターのゾンビが主役。そこには、コロナ禍を背景に作者が作品に込めた思いがあった。
「ゾンビハムスターねずこ」(ワイヤーオレンジ、税込み1540円)は、5歳から小学校高学年向けの絵本だ。ゾンビとなったねずこの目は血走り、ほおは腐って穴が開いている。
「ひまわりの種を思いっきり食べたい」「スイカ割りをしてみたい」「お花の勉強がしたい」。ゾンビになってまでやりたかったことをかなえていくねずこの姿を通じ、飼い主の小学生ヒカルは命に限りがあることや懸命に生きる大切さを学んでいく。
物語を手がけたのは、徳島市在住の絵本作家・原田たけし(本名・剛)さん(48)。執筆のきっかけは、コロナ禍で子どもの自殺が相次いでいるという報道を目にしたことだ。
「しんどいけど必死に生きよ…
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