ドイツ新政権、「核の傘」言い逃れに風穴 岸田政権の試金石に

編集委員・副島英樹、西村圭史
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 米国の「核の傘」の下にあるドイツの次期政権が、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加をめざすことを決めた。同じく米国の核抑止力に依存する日本にも波及する可能性のある動きだ。

 米国は、軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)加盟の非核保有国のうち、ドイツを含む計5カ国に約100発の非戦略核兵器(B61重力爆弾)を貯蔵している。核同盟とも言われるNATOの主要国ドイツがオブザーバー参加を決めたことは、「『核の傘』に頼っているから核禁条約には関われない」という言い逃れに風穴を開ける形にもなった。

 これに対し、松野博一官房長官は25日の記者会見で日本政府の立場を問われ、「オブザーバー参加といった対応よりも、唯一の戦争被爆国として核兵器国に実質的な核軍縮に一層関与させるよう努力をしていかなければならない」と述べ、日本のオブザーバー参加に否定的な姿勢を示した。

 しかし今、被爆地・広島選出の岸田文雄氏が首相の座にある。核禁条約は「『出口』だが重要な条約」と明言し、「核兵器のない世界へ」の著書もある。連立与党公明党はこの条約を推進してきた立場だ。

 核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を自任する日本が、核禁条約への署名・批准はともかく、オブザーバー参加さえも決断できなければ、核兵器廃絶への日本の本気度に疑問符がつきかねない。岸田政権の試金石と言える。(編集委員・副島英樹、西村圭史)