きっかけは震災時のある行動 神戸の会社が防災シューズを開発

岩本修弥
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 【兵庫】専用の収納バッグから取り出すと、ぱっと広がる。靴底は薄いのに釘やガラスが貫通しない丈夫なつくりだ。災害時の避難や復旧活動のために、神戸の会社が開発した防災シューズ。誕生の背景には、阪神・淡路大震災の被災者たちが経験した「ある行動」があった。

 靴のデザインを手掛ける「moxie(モクシー)」(神戸市中央区)が手がけた「エバキュエーション」。商品名には「避難」という意味を込めた。10月末から先行予約販売を始めると、60歳以上の高齢者を中心に注文が相次いでいるという。

 開発者で同社統括部長の黒田篤さん(53)は26歳の時、自宅のあった姫路市で阪神・淡路大震災を経験した。黒田さんにけがはなかったが、西宮市の祖母の家が全壊。祖母を手伝うために避難所の体育館に通った。

 祖母から頼まれ、荷物を担いで全壊した自宅と避難所を何度も往復した。被災直後だけに、祖母宅は釘やガラス片などが散乱していた。

 靴はボロボロになった。

 「災害時にも安全に動ける靴をつくりたい」。長年大手メーカーの靴のデザインに携わった黒田さんは、自社製品を初めてつくる時には、誰かの役に立つ靴にしたいと思っていた。

 今年、30年来の夢を叶えるために防災シューズをつくるためのクラウドファンディング(CF)を始めた。近年の防災グッズ人気の影響もあり、わずか1日で目標額の50万円を突破した。

 暗い場所でも見つけやすいように、専用の収納バックの持ち手には蓄光プリントを施した。靴の表面には燃えにくく、割れたガラスなどでも傷つきにくい素材を使用。靴底は危険物が貫通しない仕様に仕立てた。

 「災害時、足の負傷は命取りになる。いつでも持ち出せるように、枕元に置いて欲しい」と黒田さん。日常から手に届く場所に常備しやすいコンパクトさが評価され、今年度のグッドデザイン賞に選ばれた。

 サイズはS~LL(22・0~28・5センチ)の4種類で価格は1万1千円(税込み)。来年から本格的に販売を開始するが、数量限定の割引価格ですでに予約販売を始めている。詳しい購入方法はウェブサイト(https://www.moxie-stage.com/別ウインドウで開きます)かモクシー(078・600・2776)へ。(岩本修弥)