金融所得課税に警戒感 「慎重な論議を」 日本取引所グループCEO

稲垣千駿
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 東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は25日、政府・与党内で株式の売却益にかかる金融所得課税の強化が検討されていることについて「市場の警戒感は強く、極力慎重な論議をしていただきたい」と注文をつけた。

 清田氏は、この日あった定例の記者会見で、金融所得課税の強化について「マーケット参加者、特に海外の機関投資家も含めて警戒感は強いと認識している」と指摘。すでに株価に影響があったとしたうえで「(実際に税率が)引き上げられると改めて影響が出るのではないかと懸念している。市場を預かる者として、あまり大きな傷がつかないように慎重な議論をお願いしたい」と話した。

 金融所得課税の強化は、岸田文雄首相が9月の自民党総裁選で格差是正策の一つとして訴えた。だが、岸田氏が総裁に選ばれた日を含む6営業日で、3万円台だった日経平均株価は2600円超も下落。金融所得課税の強化が、投資家に嫌がられ、株価下落につながった可能性が指摘された。そのため、岸田氏は「当面は触ることは考えていない」と軌道修正。自民党税制調査会も議論を先送りする方針を決めている。

 金融所得課税の強化を巡っては日本証券業協会の森田敏夫会長も17日の定例会見で、「貯蓄から資産形成と言われて久しい中でこういう議論が出てくるのは矛盾を感じるという声がかなり寄せられた。これはもっともな意見だ」と言及。売却益や配当が非課税になる「つみたてNISA」の利用者などが増えていることに触れ、「芽を摘むのではなく、育てる観点が重要。大衆増税の懸念もある」と指摘し、慎重に検討するよう求めていた。(稲垣千駿)