野党批判をする匿名ツイッターアカウント「Dappi」について、自民党と取引のある企業との関係が取りざたされている。政治とSNSの関係はどう考えるべきか。
「誰に何のため発信?」意識を 鳥海不二夫さん
政治とSNSの関係で留意すべきことは、ネット上では多数派の声のように見える現象でも、それはごく少数者の発信による場合があり、現実の反映とは限らない、ということです。
Dappiの投稿を他人と共有した約178万件のリツイートを分析したところ、その約半分が、使われていた全アカウントのわずか約3%によって拡散されていました。一般的に、全アカウント数の15~20%がリツイートの約半数を担っていることが多く、3%はかなり低い数字です。極めて少数の人間が積極的に与党を応援し、野党を批判するメッセージを拡散していたわけです。
現実との乖離(かいり)は、他の政治的な出来事にも見られます。例えば、先の自民党総裁選に関するツイートをみると、リツイートが多かった投稿の上位千位までのうちの約7割が高市早苗さんの支持者で占められていました。だからといって、高市さんが総裁選に勝利したわけではありません。
保守派とリベラル派、「中間層」への訴求力があるのはどちらでしょうか。SNSから政治情報を得るときに注意すべきこととは。記事後半では、平林紀子さん(埼玉大学教授)がSNSが助長した米国の分断を、小泉悠さん(東京大学特任助教)がクリミア併合を巡るロシアの「情報戦」を読み解きます。
また、先の衆院選では、れい…
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