コロナ労災、保険料に特例 厚労省が事業主の負担増回避へ
厚生労働省は従業員が新型コロナウイルスに感染して労働災害と認められた場合でも、事業主の労災保険料の負担が増えないようにする特例を設ける方針を決めた。26日の審議会で原案を示す。同様の措置は東日本大震災に伴う労災に適用されて以来2回目だ。
厚労省は、感染経路がはっきりしなくても仕事が原因とみられれば柔軟に労災として認める方針を示している。国内の累計の感染者数約172万人のうち、労災申請は約2万人と1%ほどにとどまる。従業員が申請しようとしても事業主が非協力的なケースもあるという。特例で事業主の負担を軽減し、申請を促していくねらいがある。
労災保険料は従業員の賃金総額に保険料率をかけたもので、事業主が全額負担する。料率はそれぞれの事業所における労災の給付額に応じて、最大40%増減させる。労災が多い事業所の負担を増して改善を促す仕組みだ。2022年度の料率は18~20年度が算定期間となっている。
特例案では、コロナ禍が始まった20年度に感染で認定された労災6457件、総額約20億円分について料率の増減の算定から外す。件数は医療関係が59・4%、介護が24・0%を占めており、これらの事業主の負担が懸念されていた。
従業員は労災と認められれば治療費は全額支給される。仕事を休まなければいけない場合、一定期間の平均賃金の8割が原則補償される。(山本恭介)