第3回「出産後に子宮をとる」揺らぐ覚悟 3年後、娘の言葉で心が晴れた
「もしかしたら子宮をとらなくてもいいのでは?」
出産まであと4カ月。2018年1月に新潟大医歯学総合病院で妊娠中に子宮頸(けい)がんの手術を受け、そのまま入院していた30代の女性は、出産後に子宮をとる覚悟が決まらなかった。
「子宮を残すことはできませんか?」
改めて医師に尋ねてみたが、「難しい」という答えだった。
早産のリスクがあるため、安静が必要で、買い物で行けるのは病院内の売店ぐらい。病院内の図書館で借りた本を読んだり、部屋の窓から桜を眺めたり。
「これだけゆっくり空を見上げたのは何年ぶりだろう」
夫は毎週末、自宅のある群馬から、3時間以上かけて新潟に来てくれた。
女性は出産後に子宮をとることがつらくて、「とらずにすむ方法はないのか」と、医師や看護師に何度も尋ねた。
だが、結論は変わらなかった。
なんとなくまだ自分のがんの重みがわからず、どこかひとごとのように思えていた。
入院が長くなり、病院内で仲間もできた。退院した人が会いにきてくれたこともある。
群馬県に住む30代の女性は子宮頸がんと診断されると同時に、妊娠していると告げられました。がんの治療をしながら出産を目指すなか、厳しい現実を突きつけられます。それは、出産後に子宮をとるという治療方針でした。
「赤ちゃんが亡くなったんです」
つらく、悲しい経験もあった…