第55回【新聞と戦争・アーカイブ】戦場の記者たち:3

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【2007年7月13日夕刊3面】

 1938年、夏の終わり。

 朝日新聞の整理部員だった末常卓郎は、上司から従軍を命じられた。

 その著書『従軍記者』(40年刊)によると、「死線に立たされた必死の気持(きもち)」で礼を言ったとある。知らせを聞いた妻は、先行きを不安がり、子どもたちは涙ぐんだが、すぐに父を励まし、祖母は気を落としながらも「おめでたいことや」とたたえた――。

 同じ年、国家総動員法が成立。10月には、大阪朝日本社の会議で、社長の上野精一が「われわれは戦場に戦っている兵士諸君と同じ覚悟で仕事をしなければならない」と述べた。一方、中国では「抗日」のうねりが全土に広まっていた。

 戦場に行きたいと願う末常の…

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