第56回【新聞と戦争・アーカイブ】戦場の記者たち:4

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【2007年7月17日夕刊2面】

 朝日新聞の特派員、末常卓郎がまだ中国で取材を続けていた時、国内では、ある従軍記者が満場の聴衆から喝采を浴びていた。

 「武漢攻略戦」に従軍した渡辺正男である。

 揚子江沿岸の漢口など3都市からなる武漢三鎮は、末常が従軍した広東から北へ約800キロ。中国中部の主要都市だ。

 広東入城から4日後の1938年10月25日、日本軍の部隊が漢口市街に突入。続く「武漢完全占領」の報に国内は沸き立った。

 この時、「従軍文士」として「一番乗り」を果たしたのが作家の林芙美子、それに同行したのが朝日新聞記者の渡辺たちだった。10月26日付の号外は、「漢口突入瞬間の感激」として、渡辺の現地電を伝えている。「記者の目に映る光景は落城前夜の哀れさと淋(さび)しさといふ感じである」

 11月、朝日新聞は大阪や東…

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