第59回【新聞と戦争・アーカイブ】戦場の記者たち:7
【2007年7月20日夕刊2面】
「故岡部本社特派員 靖国神社合祀(ごうし)の栄」
日中戦争が始まって1年余りたった38年10月7日、こんな見出しが大阪朝日新聞に載った。
脇には「新聞人最初の恩命を拝す」の文字。
新聞記者として初めて靖国神社に合祀されることが決まったのは我が社の社員だ――。記事はそう誇っていた。
「遺族ならびに本社の光栄はこのうへもない」
戦争期の日本国家は、戦死した者たちを「神」として靖国にまつった。
合祀の対象は主として、軍人と、軍隊に属する非軍人である「軍属」だった。
このとき合祀された記者は、岡部孫四郎。
35年に入社して京城(現ソ…