第60回【新聞と戦争・アーカイブ】戦場の記者たち:8
【2007年7月23日夕刊3面】
「新聞記者として初めて」靖国神社に合祀(ごうし)された朝日の岡部孫四郎が命を落とした時の様子を、東京朝日は37年8月1日の朝刊で詳しく伝えた。
中国北部の戦場で「数枚の写真を写し終(おわ)つて」後方へ下がろうとした瞬間、岡部は、中国軍の集中射撃を受けてうつぶせに倒れた。「腰にした拳銃にしつかり手をかけてゐる岡部記者の戦死には将士らも泣いた」と記事は書いている。
「手にカメラと拳銃」と、見出しもうたった。
銃で武装する従軍記者――。今日からすれば問題視されるであろう事実だが、当時の記事には、そのことにこだわった形跡は見られない。
日中戦争当時の記録を読むと…