飲酒運転根絶へ、鍵は「周囲の介入」 依存症治療専門家に聞いた

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聞き手・多田晃子
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 「運転免許取り消し処分者講習」を受けた人のうち、飲酒運転の経験者では、アルコール依存症の疑いがある人は約4割に上る――。飲酒運転とアルコール依存症との相関関係を示すこんな調査研究結果がある。アルコール依存症治療が専門で、この研究にも携わった国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県)の樋口進院長に、依存症の疑いがある人に対する周囲の対応の仕方などを聞いた。

     ◇

 ――どのような経緯から調査研究をすることになったのでしょうか。

 「2006年に福岡市で家族が乗った車が飲酒運転の車に追突され、幼児3人が死亡した。この事故をきっかけに、07年に自動車運転過失致死傷罪を創設する改正刑法が成立するなど厳罰化が進んだ」

 「しかし、飲酒運転は無くならない。諸外国のデータでは、飲酒運転を続ける人たちの中にアルコール依存傾向の人が多数存在すると示唆していた。だが当時の日本で同様のデータは皆無に等しかったため、調査研究に乗り出した」

 ――その結果、分かったことは何でしょう。

 「調査は、国立病院機構久里浜アルコール症センター(当時)の副院長だった際、神奈川県警の協力を得て、07年1月~08年3月に実施した」

 「飲酒運転やそれによって検挙された経験がある人は常習的に飲酒運転をしていると考えられ、この多くは多量飲酒者と推定された。特に、飲酒運転の常習者に依存症が疑われる人が多いことが確認され、飲酒運転撲滅の一つの方向性が見えた」

 「また、今後の課題として、飲酒と運転に関する適切な教育の必要性▽常習飲酒運転者の多量飲酒・依存への対応▽国レベルでの多面的な調査・研究の必要性が挙げられた」

 ――千葉県八街市でのトラックによる児童死傷事故では依存症との関連は不明ですが、元運転手は常習的な飲酒運転を指摘されていました。家族や周囲はどう対応すればいいのでしょうか。

 「家族だけでなく、職場など周囲の複数の人が『酒を飲み過ぎでは』『健康に影響がある』などと声を掛けたり受診を促したりするなど、適切な介入をすることが大事だ」

 「職場では上司が注意するより、産業医などが病院を紹介したり受診を促したりするのが効果的で、社会問題の観点からではなく、健康管理の面からアプローチしたほうが受け入れられやすい。飲酒運転は人命に関わるため、関与や介入を躊躇(ちゅうちょ)してはいけない」

 ――依存症と診断され、受診や治療をしている患者でも、飲酒がやめられないケースがあります。

 「依存症の主な特徴として…

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