みずほ銀、再生の条件は? 金融システムや企業統治の専門家に聞く

聞き手・江口英佑 聞き手・西尾邦明
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 一連のシステム障害を受け、金融庁から2度目の業務改善命令を受けたみずほフィナンシャルグループ(FG)。経営陣も刷新し、出直すことになったみずほの再生には、どういう改革が必要なのか。専門家に聞いた。

金融システムに詳しい静岡大学の遠藤正之教授

 大規模な銀行システムでも、全体の構造がシンプルであれば、顧客に影響を与えるような障害を頻発することはないだろう。みずほの場合、構想段階から問題があったのではないか。

 みずほでは、システムを開発した「ベンダー」が預金や為替など分野ごとに4社に分かれている。これらは基本ソフト(OS)やデータベースが異なり、障害の際にはベンダーごとに理解している人による確認が必要だ。だが、実際にはこうした複雑な構造を理解する要員は少なかった。

 障害発生時の対応にも顧客目線が欠けている。2月の障害では、ATMに通帳やカードを取り込まれてしまう被害があった。ATM自体を停止した方が、影響が少なかったのではないか。

 こうした問題を解決するために、システム担当役員には、システムを熟知している人材を充てる必要がある。またベンダーとの連携を密にしたうえで、システムの保守運用についても、みずほ主導でできるよう習熟する必要があるだろう。経営と現場がコミュニケーションできる仕組みを作り、未然防止だけでなく、障害発生時の訓練をするなどの準備をすることも大切だ。(聞き手・江口英佑)

企業統治に詳しい八田進二・青山学院大名誉教授 

 金融がシステム産業にもかかわらず、経営陣はそれを軽視していた。そもそも、役員にシステムの知識が乏しく、専門業者に任せきりで、現場からの報告を追認するだけになっていたのではないか。経営陣の刷新は当然で、システムに精通した役員を複数置くべきだ。

 長年指摘されてきた縦割りの企業風土も改善できていない。他部門のことに無関心で情報共有がされず、現場が声を上げても唇寒しで言わなくなる。企業風土が良好でもすぐに利益には結びつかないが、不祥事の少ない健全で持続可能な組織には欠かせない。経営者はその改善の努力を怠ったといえる。

 社外取締役の責任も見過ごせない。その役割の真骨頂は有事の時のはずだが、一連のシステム障害でどう対応したかが、まったく見えない。「報告がない」は通用しない。自ら不都合な情報を積極的に取ることが求められた。経営の根幹にかかわる課題解決に貢献できないのであれば、全員交代するべきだ。金融庁はみずほの信頼回復に向け、引き続き厳格に改善計画の実行を監督してほしい。(聞き手・西尾邦明)