駅前で両手に刃物の男「止めるしか…」高校生3人、体が勝手に動いた

飯島啓史
[PR]

 JR福島駅で刃物を持った男が女性を切りつけ、傷害容疑で現行犯逮捕された事件。現場となった駅西口で容疑者を取り押さえ、出血する被害者を救護した県立高校に通う2年生の男子生徒3人が朝日新聞の取材に応じ、事件当時を振り返った。

 15日午後4時前。同じクラスで、遊び仲間の男子生徒3人(いずれも17)は福島駅西口の駐輪場に自転車を止め、駅ビル内のマクドナルドに向かった。1人はソフトテニス部員で、この日は練習が休みだったため、3人で放課後の時間を楽しむ予定だった。

「キャー」という女性の悲鳴が…

 駐輪場から西口の広場に向かっていたところ、10メートルほど前に刃渡り20センチほどのナイフを両手に持った住所不定無職の高橋清容疑者(69)が歩いているのが見えた。容疑者は花壇のへりに腰かけていた80代の女性に近づき、右腕を上げ、女性の左脇腹あたりをナイフで切りつけた。

 「キャー」という女性の悲鳴が響き、男子生徒の1人は10月に京王線で起きた刺傷事件を思い浮かべた。恐怖はあったが、「これ以上被害者が増えないように、止めるしかない」と体が勝手に動いた。

 容疑者は近くにいた会社員の男性(24)に突き飛ばされ、倒れていた。そこに馬乗りになり、落ちた2本のナイフを遠ざけ、容疑者の両手首をつかんだ。はじめは抵抗したがすぐにおとなしくなった。数分後に警察官が来るまで、容疑者は聞き取れない言葉を小声でつぶやいていたという。

 他の生徒2人は切りつけられた女性に駆けよった。「止血しなきゃ」。カバンからスポーツタオルを出し、救急隊が来るまで10分ほど押さえていた。女性の服には血がにじんでいたが会話はでき、「切られたけどあまり痛くない」と話していたという。

 男子生徒3人と会社員の男性の4人は18日、県警本部長から感謝状を受けた。容疑者に馬乗りになった生徒は「被害が広がらなくてよかった。人の命に関わるような犯罪は絶対にいけない」と話した。

 女性を救護した1人は、将来は医療従事者になりたいという。「はじめて傷害事件や流血を見て怖かったけれど、男を取り押さえる友だちを見て『自分も何かしなきゃ』と思った。とにかく女性が大事に至らなくてよかった」と話した。(飯島啓史)