原発テーマの高校演劇、テレビ放送されず 理由は「差別表現」なのか

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柳川迅、小田健司、中田和宏
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 毎年秋にある福井県高校演劇祭の全作品を放送している地元ケーブルテレビの番組で、今年は参加12校のうち、県立福井農林高の劇だけが放送されないことになった。同校の劇は原発が題材となり、せりふに差別的な用語が入っていた。どんな経緯だったのか。

 今年の同演劇祭は9月18~20日、福井市内で無観客で開かれた。福井ケーブルテレビが取材し、例年は12月に全校分を放送する。同テレビによると、農林高演劇部が演じた翌日の20日、同テレビの担当者が、演劇祭を主催する県高校文化連盟(高文連)演劇部会の教諭に「差別表現がある。放送して問題ないか」と懸念を伝えたという。

テレビ担当者「差別表現がある」 教諭に伝える

 農林高の劇の題名は「明日のハナコ」で、女子生徒2人の掛け合いで進む。1948年の福井地震以降、東京電力福島第一原発事故などに触れながら、多くの原発がある福井の歴史と2人の生き方を描く。台本は農林高演劇部の元顧問の玉村徹さん(60)が書いた。

 劇の中では主人公の女子生徒が、福井の過去の出来事を振り返る中で、83年に同県敦賀市の当時の市長が講演会で話した言葉を紹介している。現代では身体障害者への差別を表す言葉を用いて、「放射能の影響で将来に障害のある子が生まれる恐れはあるが、交付金などが入るため原発は誘致すべきだ」と主張する発言。当時から「暴言」と指摘されていた。

 ケーブルテレビ担当者の指摘を受け、高文連演劇部会の顧問らは9月20日と10月8日、農林高の劇について協議。会議には各校の演劇部顧問らが参加した。

テレビ側「『農林さんはなかった形で』と言われた」

 演劇部会長の島田芳秀・県立丸岡高校長によると、弁護士にも助言を仰いだ協議の結果、テレビ側に「そのまま放映した場合、差別表現があるため、演じた生徒や関係した職員が批判や中傷を受ける可能性がある」と伝えた。放映の是非の判断は任せたという。

 同テレビは10月中旬、農林高の劇だけを放送しないと決めた。2006年から原則的に全作品を放送してきた。農林高の劇は、各校の顧問や部員らが見られるインターネット上の動画からも除かれた。

 ケーブルテレビの担当者は取材に、「顧問会議の窓口の先生から『農林さんは今回はなかった形で放送してください』と伝えられた」と話す。放送見送りを決めた主体について、同テレビと顧問会議の説明は食い違っている。

放送見送りを決めたのはテレビなのか、演劇部顧問たちなのか。双方の説明は食い違います。顧問会議で協議された内容が、取材で浮かんできました。放送見送りに、識者は懸念を示します。

 差別表現の部分の音声を伏せ…

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