「クモ男」との2年間の戦い 犯人を追い詰めたプロファイラー刑事

有料会員記事

[PR]

 午前6時40分、北海道警本部の犯罪捜査支援室(現・捜査支援分析課)。同僚たちの姿はない。いつものようにホットコーヒーを入れる。最新の捜査資料に目を通す。

 「またか……」

 2012年夏、当時44歳だった警部補、永安弘幸(54)は壁にぶつかっていた。

 夜間、アパートやマンションで住人が不在にする部屋に盗みに入る「宵空(よいあ)き」が、札幌市北区で11年から続いていた。同一犯とみられた。

 職業的に盗みを繰り返す犯人には得意な手口がある。その宵空きの犯人は、避難ハシゴや非常階段を使って屋上に上がったあと、ベランダをつたいながら無施錠の窓を探していた。足跡から、高い身体能力がうかがえた。まるで「クモ」男と戦っているようだった。

 「もし俺が犯人だったら、次はどこを狙う?」

 犯行現場や発生時間帯、手口のデータを科学的に分析し、犯人像や次の発生場所を予測する捜査手法を「プロファイリング」という。主に連続する窃盗事件や放火、性犯罪といった捜査の支援に活用されている。

 窃盗事件一筋の刑事だった永安が担当になったのは前年の11年4月1日のことだ。

 「ナガさん、プロファイリングの印象はどうだい。怪しいと思うかい」

 プロファイリング専従班の責任者だった警部の成田伸生に聞かれた。00年に全国に先駆けて専従班を導入した道警で、成田は生き字引的存在だった。全国の警察官にプロファイリングの技術を伝える「広域技能指導官」でもあった。

 それらを承知の上で、正直に答えた。「はい、怪しいと思います」

 刑事は「靴底を減らして情報…

この記事は有料会員記事です。残り1403文字有料会員になると続きをお読みいただけます。