宮本亞門が見た巨匠の素顔 舞台への思い、日本酒飲みながら語った

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聞き手・藤谷浩二
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 米ブロードウェーミュージカルの巨匠として知られた作詞作曲家のスティーブン・ソンドハイムさんが91歳で亡くなった。長年敬愛し、ソンドハイムさんが作詞作曲した「太平洋序曲」の演出をきっかけに深い親交を結んだ演出家の宮本亞門さんが悼んだ。

 コロナ禍になってからはコネティカット州の自宅にいたはずですが、1週間前にニューヨークの友人から「彼が劇場に来て、元気だったよ」というメールが来ました。「やっとブロードウェーに戻れたんだな」と思っていたので、突然のことで衝撃を受けています。

 ずっと大尊敬してきた方でした。ひきこもりだった高校時代に「リトル・ナイト・ミュージック」の「センド・イン・ザ・クラウンズ」という曲をレコードで聴いて、「真剣にミュージカルをやろう」と決心しました。今の僕のスタートとなった曲です。ソンドハイム作品のナンバーは派手な大ヒット曲というよりも、一曲一曲が作品の内容にぴったり合っていて、繊細で複雑。観客や聴き手の心にまっすぐ届くんです。

 幕末の黒船来航後の日本の混乱を描いた「太平洋序曲」を2000年に東京で上演した際、来日した彼が観劇してくれました。「あまりにも憧れていて、怖くて会えない」と稽古中から震えるような日々でしたが、終演後にあいさつすると「素晴らしかった」と言ってくれて、そのまま飲みに誘われました。その後、公演の打ち上げにも来てくれた。「君は誰だ。日本人なのに、なんでミュージカルのことがこんなにわかるんだ」と。社交辞令かと思っていたけれど、すぐニューヨークにも呼ばれ、家でお酒を飲んで話をするうちに友人になりました。

 僕はスティーブと呼んでいま…

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