【21年九州場所14日目】スター候補の阿炎 今も良いけど…

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松本龍三郎 鈴木健輔
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 横綱照ノ富士が2場所連続6度目の優勝を決めた。ただ一人1敗で追っていた平幕阿炎を退けた。新横綱から2場所連続の優勝は、優勝制度ができた1909(明治42)年以降、62年初場所大鵬以来5人目となる。大関対決は貴景勝が制し、2敗を守った。関脇御嶽海が10勝に到達した。

注目の取組・力士を特集する「東西トーザイ」、八角理事長がその日の相撲を語る「理事長が見た!」、力士らの取組後の声を届ける「支度部屋から」など…デジタル限定のコンテンツを含めた記事や、豊富な写真を連日報じていきます。

(東西トーザイ)照ノ富士が連続V 猛攻誘い込み反撃

 左足は徳俵にかかり、上体は伸びていた。照ノ富士は土俵際で阿炎の押しをこらえてこらえて、最後に引いた相手を押し倒した。

 攻め込まれた末、なんとか白星を手にした――。結びの一番を見れば、誰もがそう思ったのではないか。

 ところが、横綱の見解は違った。

 「昨日からずっと阿炎関の相撲を見てきた。やっぱり(自分の体が)伸びないと、(相手は)一気に出てこない。自分からちょっとでも伸びないと、(懐に)入ってこない感覚でやっていた」

 驚いた。腕の長い阿炎を捕まえるのは難しい。そのために、あえて上体を伸ばし、隙をのぞかせることで、自分の間合いに誘い込んだというのだ。

 土俵際、重い腰でこらえていると、阿炎が押し込もうと体を密着させてきた。その左腕を、ここぞとばかりに右脇で抱え込んだ。嫌った相手が引いたところで形勢が逆転した。

 豊富な稽古で作り上げた肉体で、阿炎の突っ張りを受け止めた。さらには、相手を分析する頭脳もある。「勝てなかったら、もうそれは研究が足りない、弱かったっていうこと」

 6度目の頂点にして、初めて14日目で優勝を決めた。次の目標は、自身初の全勝優勝。「出来るうちに、チャンスがあればつかんでいきたい」。圧倒的な強さを見せつけ、白鵬が去った2021年を締めくくる。(松本龍三郎)

(記者コラム)スター候補、今の阿炎も良いけど…

 「自分の弱さなんだろうなと、気づかせてもらった」。横綱を仕留めきれなかった場面を、阿炎は淡々と振り返った。13日目までに12勝。一人横綱と優勝争いを演じ、「生まれ変わった」姿は印象づけた。

 快進撃を続ける中、表情を変えず、殊勝な言葉ばかりを口にした。「感謝の気持ちを忘れずに」「(優勝争いも)関係ないです」。好調の要因を問われても「集中して取れている」だけ。以前のような威勢の良さがなかった。

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