これぞワンポイント 日本S初登板の42歳・オリックス能見の5球

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 これぞ、プロの仕事、これぞワンポイント登板だった。しびれるような場面でオリックスの42歳、能見篤史が「ベテランの力」を見せた。

 1―1のまま、試合は延長に入った。出番は十一回表の先頭打者。打席にはセ・リーグ本塁打王の村上が入った。

 一発浴びれば、日本シリーズの終戦が近づく。しかも、このシリーズ初登板。重圧のかかる場面で、低めへの変化球、外角の直球で2ボールとなった。

 だが、ここで焦らない。外角の136キロでまずストライク。続く、4球目はシュート気味に内角へ制球した。これで2―2と追い込むと、最後はストライクからボールゾーンへ沈むフォーク。村上の体勢を崩し、力ない左飛に打ち取った。わずか5球の大仕事で、4番手の比嘉幹貴にバトンをつないだ。

 阪神のエースとして長らく活躍したが、昨季で戦力外通告を受けた。だが、左腕の情熱は消えなかった。同じ関西の球団に選手兼コーチとして移籍すると、その存在感はすさまじかった。

 ブルペン担当として、とりわけ今季18勝を挙げたエース山本由伸の心のよりどころとなった。

 シーズン序盤、調子の悪かった山本に「試合前からこんな風やったな」と助言したことがきっかけ。以来、試合前の投球練習でエースの投球をチェックするようになった。山本は登板中でも、おかしいと感じたら左腕に助言を求めるようになった。

 今や球界のエースとなった右腕も頼る、42歳。その山本が9回1失点で作った流れをしっかりと次へつなぐ。全盛期の球威はなくとも、大きな戦力であることを証明した5球だった。