多様性の虹、300人彩る LGBTQ+理解へ中国初のパレード

中村建太
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 LGBTQ+の当事者や支援者(アライ)らが街を歩き、多様性への連帯を訴えるレインボーパレード「ももたろう岡山 虹の祭典2021」が28日、岡山市中心部であった。実行委員会によると、レインボーパレードの開催は中国地方では初。約300人の参加者が性的少数者らの尊厳などを象徴する虹色の旗を掲げ、街を彩った。

 パレードは岡山市北区の石山公園を出発し、桃太郎大通りや表町商店街など3・5キロのコースを通った。参加者らの列は200メートル近い長さになった。「ハッピープライド!」と声を上げ、沿道の人たちに手を振った。

 沿道から手を振り返したり拍手を送ったりする人もいた。広島市から家族で訪れた元教員の鬼頭暁史さん(39)は、当事者の講演などを通して関心を強めたという。「地方でもこういうパレードができるのは感動的。教職に復帰したら生徒たちに紹介したい」と話した。

 レズビアンを自認する岡山市の朝日春菜さん(22)はパートナーのRINAさん(37)とパレードに参加した。「今日をずっと待っていた。すごくうれしい。私たちは皆と変わらないんだよと色んな人に知ってもらえれば」と語った。

 岐阜県から参加したゲイの会社員男性(53)は「故郷が居づらくなって離れる当事者も多いと思うが、こういうイベントがあれば戻って来やすくなる」。岡山市のゲイの男性(42)は「先日の衆院選では同性婚の問題が争点にならならず残念だった。地道に活動していかないといけない。その一助になったと思う」とパレードの意義を感じていた。

 同性婚を認めないのは憲法違反だとして国を相手取った訴訟が各地で進む。京都市に住む原告の女性カップル、坂田麻智さん(42)と米国籍のテレサ・スティーガーさん(38)もパレードに加わった。坂田さんは「たまたま同性が好きに生まれただけで権利に差が出るのはおかしい」と感じる。テレサさんも「一人一人誰でも違いがある。どんなセクシュアリティーでも恥じることはない」と訴えた。2人は2015年にアメリカで結婚したが、日本では婚姻が認められていない。パレードでは「日本でも結婚したい」と書いたカードを掲げた。

 パレードは昨年に開催予定だったが、コロナ禍で2度延期し、今回ようやく実現した。来年以降も続ける予定という。

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 パレードの先頭を歩いたのは実行委の共同代表の2人。いずれも岡山県総社市出身の市川明美さん(57)と浅沼智也さん(32)だ。2人はこれまでも学校や企業で講演するなど公の場に立ってきた。「多様性を認め合う社会へ、まずは自分たちのことを知ってもらいたい」との思いからだ。

 市川さんは幼い頃から自然と、同性である女性に恋愛感情を抱いた。性自認や性的指向の多様性は「食べ物の好き嫌いと同じくらい当たり前」だと考える。

 岡山市への働きかけが実り、市は昨年7月、性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入。ただ導入に向けた議論では「当事者がどれほどいるのか」「認知が進んでいないのでは」などの声にも直面した。「もっと当事者を可視化しないと」と感じたという。

 市川さんと活動を通じ知り合った浅沼さんは、トランスジェンダー。23歳で手術を受け、戸籍の性別を男性に変えた。性同一性障害者特例法は戸籍の性別変更に未成年の子どもがいない、生殖機能がないなどの要件を課す。「トランスジェンダーも立場は色々だ」。浅沼さんは性別変更に一律の要件があることに疑問を持つ。

 自分を含む当事者16人のインタビューを収めた映画「I Am Here―私たちはともに生きている―」を制作。昨年12月の東京ドキュメンタリー映画祭の短編部門でグランプリを受賞した。

 全国の当事者に「ひとりじゃないよ」と伝えたい。生きづらさを感じる社会へ「私たちは特別な存在じゃない。一人一人の個性を排除せずに認め合おう」と訴えたい。この日のパレードはそんなメッセージを届けるための一歩となった。(中村建太)

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 〈LGBTQ+〉 Lはレズビアン(女性同性愛者)、Gはゲイ(男性同性愛者)、Bはバイセクシュアル(両性愛者)、Tはトランスジェンダー(自認する性と出生時の性別が異なる人)、Qはクィア(規範的な性に当てはまらない人)やクエスチョニング(性自認や性的指向が定まっていない人)、+はさらに幅広い性のあり方を指す。電通が昨年12月に全国の約6万人を対象に実施した調査では、8・9%がLGBTQ+に該当すると回答した。

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