「OSUSOWAKE」銚子から広めたい 事前に寄付して被災地支援

大久保泰
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 日ごろから支援のための寄付を募り、災害時に被災地に物資を送る――。そんな新たな支援づくりに、千葉県銚子市の大学生とまちづくり団体が取り組んでいる。「OSUSOWAKE(おすそわけ)」と名付け、銚子から世界に広げたいという。

 市内にある千葉科学大学危機管理学部の木村栄宏教授の3年生のゼミ生と、市内の産官学でつくる「銚子円卓会議」が考えた。

 寄付型循環備蓄システムといい、平時に一口2千円の寄付をしてもらう。災害が発生した場合には、事前に協定を結んだ被災地に寄付分の物資を送る。一定期間(半年を想定)を過ぎて災害が発生しなかった場合には、寄付した人に1千円分の品物が返礼される。

 提案したのは円卓会議のメンバーで、米やせんべいなどの販売会社専務の根本吉規さん(44)。4月にゼミに参加し、学生らと仕組みを詰めてきた。

 根本さんは2011年に東日本大震災が発生した時、銚子商工会議所の青年部会長としてボランティアに参加し、支援物資も受け取った。19年の台風被害でも県外から支援を受けた。「共助の大切さを改めて感じ、地域ぐるみでの被災地支援ができないか」と考えていた。

MOTTAINAIに続き世界に広まれば

 このシステムでは、復旧がある程度進んだ時点を想定し、事前の協定で何がほしいかを話し合っておく。非常食よりも、温かい食べ物などを想定している。一方、寄付をすることで日ごろから防災に関心を持ってもらう。市内の事業者から物品を購入するため、地元への経済効果も期待できる。

 「OSUSOWAKE」はアルファベット表記にしただけでなく、「おすそわけ」を意味する英語の頭文字からとった。世界へ広げていきたいとの願いを込める。

 8月から実証実験を行い、学生らが市内のショッピングセンターなどで仕組みを説明し、寄付を呼びかけた。11月上旬までに市内外の226人から421口(計84万2千円)の申し込みがあった。この期間に災害救助法が適用される災害はなく、米や干物が寄付者に贈られている。

 11月13日には報告会があり、成果や課題が話し合われた。寄付者からは「危機管理と地方創生の良い企画」「『MOTTAINAI(もったいない)』が世界に認知されたように広がっていくといいですね」などのコメントが寄せられた。

 ゼミの平野束真(つかさ)さん(21)は「学生が呼びかけることで関心を持ってもらえる。コロナ感染が落ち着き、いろんな人に直接参加を呼びかけたい」と意気込む。ゼミでは新たに入ってくる3年生が継続して取り組んでいくという。木村教授は「寄付文化の醸成が課題。自然発生的な助け合いの精神を広げていきたい」と話す。

 近隣や関係のある自治体との協定の話し合いも進む。年内にも本格的な実証実験を始め、浸透を図る。(大久保泰)