くま鉄 待ってたよ 豪雨被災越え、一部区間で運行再開

堀越理菜
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 昨年7月の記録的豪雨で被災し、全線運休が続いていたくま川鉄道(本社・熊本県人吉市)が28日、一部区間で運行を再開した。湯前駅(湯前町)では記念式典も営まれ、多くの地元住民らが再開を喜んだ。

 記念式典では、球磨工業高の小林天人(たかと)さん(3年)と、人吉高の岩野桃子さん(同)が「一日も早い全線開通を願って。くま川鉄道の明るい未来に向かって、出発進行」と合図をし、臨時記念列車が出発。地元の子どもらが乗り込んだ列車を、集まった人たちが色とりどりの風船を空に放って見送った。

 人吉市から家族と駆けつけた黒木萌照(めあり)さん(3)は「くまがわてつどうまってたよ」という手作りの旗を振った。被災前には毎日、自宅のそばを走る列車を見ていて、運休中も人吉温泉駅に行き「がんばれ」と声をかけていたほどのファンで、この日を楽しみにしていたという。多良木町の農業・平田恵子さん(71)は「楽しみで友人にも呼びかけて来た。いつまで車を運転できるか分からないので交通手段としてくま鉄は必要」と安心を口にした。

 臨時記念列車の運転士を務めた椎葉悠太さん(26)は、被災した昨年7月4日の前日に客を乗せて運転して以来という。「運転しながら涙を流しそうになったが、安全運転に努めた。この日をまだかまだかと待ちわびていた。みなさんのおかげです」と語った。車掌を務めた中尾有佑さん(22)も、「被災時はこれからどうしようという絶望感で廃線になるかもしれないと思った。今日は地域の方々が笑顔で迎えてくれて感動した」と話した。

 臨時記念列車に乗った人吉市出身で鉄道写真を撮るのが好きだという熊本市の会社員・福井昭弘さん(55)は、「沿道の人たちが手を振っている姿を見て、みんな待っていたんだとすごく伝わってきた」と話した。

 くま川鉄道を利用する高校生たちも、再開を喜んだ。球磨中央高の猪野春香さん(3年)は「くま鉄は乗るだけのものではなく、人吉球磨を明るくしてくれる存在。学校や家にいつも聞こえていた、列車が走る音を久しぶりに聞けて感動した」。南稜高の井手永杏子(ももこ)さん(同)も、「(被災後に)鳴らない踏切を見るのが悲しかった。またくま鉄に乗って遊びに行ける」と友人たちと笑い合った。(堀越理菜)