昼は子ども、夜は大人が笑顔に 老舗が「駄菓子バー」50種食べ放題

森直由
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 神戸市東灘区にある創業80年近くの駄菓子屋。同じ建物の反対側に15日、駄菓子を食べながらお酒が飲める「駄菓子バー」がオープンした。店長の木本俊也さん(37)と妻の早予子さん(39)が、応接間や和室だった住居の一部を改装。入り口が二つあり、昼が子ども、夜は大人が、駄菓子で笑顔になれる建物ができた。

 駄菓子屋は、木本さんの母の幸世さんが店主を務める「田中商店」。阪神深江駅近くの住宅街にある約15平方メートルの店内に、100種以上の懐かしい駄菓子が所狭しと並ぶ。幸世さんらによると、戦時中は配給所だったと伝えられており、戦後に食料や日用品を売るようになった。駄菓子屋は約40年前からだという。午前7時ごろから午後6時ごろまで営業。昨年からの新型コロナウイルスで、一時は客足が減ったが、今は客足が戻っているという。

 「駄菓子を生かして、何か新しい試みができないか」。木本さんは趣味で全国各地のウイスキーを集めており、「駄菓子をおつまみに、お酒を飲んでほしい」と昨年末に駄菓子バーを考案。ノコギリや電動ドライバーを使い、今年1月から駄菓子屋の裏側にあたる居住区域の一角を夫婦で改装。特にお酒を置く棚やカウンターに時間を費やし、約8カ月間かけて完成させた。

 バーの広さは約25平方メートル。カウンター席の後ろに、約50種の駄菓子を置いた。500円を払えば、時間無制限で食べ放題だ(ワンドリンク制)。北海道や鹿児島、長野といった全国各地のウイスキーやビール、ソフトドリンクなどを含め、40種近くの飲み物を1杯500円から用意。ゆったりとしたソファ席もあり、洋楽やジャズを聴きながら駄菓子を楽しめる。

 「駄菓子で、お客さんは来てくれるだろうか」。SNSを使ってPRを始めたが、オープンを前に、不安が募った。しかし、子供の頃に駄菓子を食べていた中年世代や若者ら、予想以上に多くの客が来てくれるように。特に人気が高いのは「よっちゃんいか」だという。

 木本さんは「みんなそれぞれ駄菓子にまつわる記憶があって、駄菓子をツールに会話が弾む」と感じている。「思い入れがある駄菓子を手にとってもらい、リラックスできる居心地の良い空間にできたら」。発売70年を迎えた「ココアシガレット」などを製造販売している子ども菓子専門メーカー「オリオン」(大阪市)の高岡五郎・常務取締役(67)は「新しい試みをしてもらえるのは、メーカーとしてもうれしい」と話している。

 バーの営業は午後6時から午前0時。日曜定休。問い合わせは「田中商店の駄菓子バー」(080・2126・2127)。(森直由)