犯罪被害者支援講演会 山口女子高専生殺害遺族が講演

山崎琢也
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 25日から12月1日の「犯罪被害者週間」にあわせ、犯罪被害者の支援について考える講演会が26日、静岡市葵区であった。山口被害者支援センターで支援員として活動し、自身も犯罪被害者遺族である中谷加代子さんが「何が被害者の支援になるか一緒に考えて欲しい」と訴えた。

 講演会は静岡犯罪被害者支援センターなどが主催。約70人が参加した。

 中谷さんの長女、歩さん(当時20)は2006年、通っていた山口県内の高等専門学校で同級生の少年(当時19)に殺害された。中谷さんは講演で、夫から歩さんが亡くなったと告げられた時のことについて「テレビの速報でも流れていたが、顔を見るまで歩が死んだと信じられなかった」と振り返った。

 事件発生後、職場の同僚や周囲の人からの温かい支援に支えられたと話し、「大切な家族を突然奪われた人は、心に大きな傷を負っている。何をすることが相手のサポートになるのかを一緒に考えて欲しい」と遺族に寄り添い支援する必要性を訴えた。

 事件直後から行方をくらましていた少年は10日後に遺体で発見された。自殺とみられ、供述から事件の全容を解明する機会は失われた。中谷さんは「なぜあの事件が起きたのかを今でも考え続けている」として、「私と同じような思いをする人がもういて欲しくない。事件や事故が1件でも少なくなるように願う」と話した。

 犯罪被害に遭った後も、被害による精神的なショックを受け、周囲から好奇の目を向けられたり、時には仕事を失ったりする「二次被害」に苦しむ人が後を絶たない。05年に施行された犯罪被害者等基本法では、被害者の権利と利益を守るように求めており、自治体にも支援策を実施する責務があるとしている。

 だが、県警によると今月25日時点で、県内35市町で犯罪被害者などの支援に絞った条例を制定しているのは藤枝市磐田市など8市町にとどまる。

 支援センターの松井宏臣事務局長は「被害者支援の必要性が十分に伝わっていない」と課題を指摘する。その一方で条例がない自治体でも新たに制定する動きも見られるとして「誰もが被害者になりうることを認識することが必要だ。社会全体で被害者支援を考えて欲しい」と話した。(山崎琢也)