立憲民主党の代表選が30日、投開票される。共産党との「野党共闘」で臨んだ衆院選では支持が広がらず、議席を減らした。党の立て直しに向けて必要なものはいったい何なのか。
若い世代のために何をするのか、ビジョンを 松井孝治さん
立憲民主党は今回の衆院選で共産党と共闘したことで、「左派に傾斜した」と有権者から見られています。私は立憲の前身である民主党の原点に立ち返り、左寄りでも右寄りでもない、中道保守層に支持される党に再建すべきだと考えます。
1998年にできた民主党は「与党批判だけでは政権は取れない」と考えていた旧社会党の議員、「自民党では改革できない」と自民党を飛び出した議員らで結党されました。その精神は、既得権益に縛られた自民党に代わり、官僚主導の政治を変えるというものでした。しかし今は、もっぱら与党のスキャンダルを追及する野党というイメージが定着しています。
この変質は2000年代後半、小泉内閣のときに起こり始めていた、と私はみています。当時の小泉純一郎首相の「改革」の演出が巧みだったため、むしろ自民党の方が改革を進めている、という印象を国民に与えました。そんな自民党に対抗し、選挙で勝つために、民主党は与党の新自由主義などを批判する「批判政党」へと次第に変質し、今に至っているのです。
しかし、こうした政治手法では「どんな日本社会を作りたいのか」という政党としてのビジョンを国民に示すことはできません。
立憲民主党を立て直すためのカギとは――。記事後半では室橋祐貴さん(日本若者協議会代表理事)が現役世代が期待することを、田中拓道さん(一橋大学教授)が、政党に求められる多様な利益を集約する役割を訴えます。
かつて民主党は、子ども手当…