「ありがとう」忘れぬ新スター ラグビー・イングランド22歳司令塔
ロンドン=遠田寛生
身内に厳しい論調で知られる英メディアが、手放しで褒め続けるラグビー選手がいる。
マーカス・スミス。
アジアにルーツを持つ22歳。7月、イングランド代表デビューを飾ったスタンドオフ(SO)だ。
175センチ、82キロ。決して体格に恵まれているわけではない。
スピーディーなボール回しに安定したキック。相手が予想できないタイミングや場所にパスする意外性も備えている。
新時代のスター。
英メディアは、そろってこう呼ぶ。
1999年、フィリピン・マニラでイングランド出身の父とフィリピン出身の母の間に生まれた。
シンガポールに引っ越し、父の影響で7歳でラグビーを始めた。2011年、イングランドへ移住した。
すぐに才能が認められ、奨学金でブライトンにある強豪校に進学した。
イングランドのプロリーグ、プレミアシップには18歳200日でデビュー。同リーグのSOでは2番目の年少記録だ。
23年に開催されるワールドカップ(W杯)フランス大会。1次リーグでイングランドと同組の日本にとって、要注意人物になることは間違いない。
あの決勝の顔合わせの再現で、そう強く感じさせた。
11月20日、逆転勝利を飾…