急逝アブロー、メンズの歴史を作った ルイ・ヴィトンのデザイナー

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編集委員・後藤洋平

 ルイ・ヴィトン(LV)のメンズ部門のデザイナー、ヴァージル・アブローが28日、がんのため亡くなった。41歳だった。

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ルイ・ヴィトンのメンズ部門のデザイナー、ヴァージル・アブローさん=ロイター

 フランスの老舗LVで初のアフリカ系デザイナー。自身のブランド「オフ・ホワイト」の設立から5年目だった2018年にLVに起用され、若い男性たちから圧倒的な支持を集めた。オフ・ホワイトでもLVでも大手シューズブランド、ナイキとの協業スニーカーが話題になった。「現代で最も成功しているデザイナー」と称されたアブローの死で、ファッション界が受ける損失と影響は計り知れない。

 1980年、ガーナ移民の子として米国で生まれた。大学院で建築を専攻していた異色のファッションデザイナーだった。DJや芸術家としても活動しており、カニエ・ウェストや村上隆らとも親交があった。LVやオフ・ホワイトのショーでの最前列には、大物ミュージシャンら著名人が目立った。

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オフ・ホワイトの2020年秋冬コレクションのフィナーレ(大原広和氏撮影)

若い男性からカリスマ的人気

 服づくりにもDJやアーティストの手法を多用した。かつて流行したブーツカット風のパンツを現代的なスーツに落とし込んだり、バッグにあしらわれたLVのモノグラム(ブランドロゴ)をベルベット素材などで立体的にしたり……。コムデギャルソンの川久保玲のような「無から何かを生み出す」デザイナーではなく、「既存の何かにアレンジして膨らませる」というスタイルだった。そうした現代的なクリエーションによって、若い男性からカリスマ的な人気を集めた。

 アブローは藤原ヒロシやNIGOら、ストリートカルチャーを世界的に広めた日本のクリエーターたちと交友関係があり、LVやオフ・ホワイトでの協業も重ねていた。アブローの制作手法に日本のクリエーターが与えた影響は大きく、本人たちも隠さなかった。

「自分の人生重ねた」LVデビューと思想

 もう一つの重要なポイントは、アブローが掲げる思想だった。自らの出自や、抑圧されてきた側の視点を大切にし、政治的な発言もいとわなかった。

 最も印象的だったのは、LV…

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