日大の田中英寿理事長を逮捕 約5300万円脱税した疑い 特捜部

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 日本大学板橋病院をめぐる背任事件で起訴された医療法人前理事長らから受け取ったリベートなど計約1億2千万円を税務申告せず、約5300万円を脱税したとして、東京地検特捜部は29日、日大理事長の田中英寿容疑者(74)を所得税法違反の疑いで逮捕し、発表した。特捜部は認否を明らかにしていないが、関係者によると、田中理事長は現金の授受自体を否定し、脱税容疑を否認しているという。

 特捜部は板橋病院をめぐる計約4億2千万円の背任罪で、田中理事長側近の日大元理事・井ノ口忠男被告(64)と医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)の前理事長・籔本雅巳被告(61)を10~11月に起訴している。

 発表などによると、田中理事長は2018年と20年の2年間で、籔本被告と井ノ口被告らから複数回にわたって受け取った計約1億2千万円の所得を隠し、約5300万円の所得税を免れた疑いがあるという。

 板橋病院の建て替えをめぐる背任事件では、設計事務所から籔本被告側に2億2千万円の日大資金が不正送金されたとされる。関係者によると、その2日後の20年8月7日に籔本被告が都内の焼き肉店で田中理事長に渡した3千万円のリベートなどが所得隠しに含まれるという。流出した日大資金が事実上トップに還流したことになる。

 他には、18年12月の田中理事長の誕生日や20年9月の理事長再任の祝い金として籔本被告が渡した現金などが含まれるという。田中理事長の妻が経営するちゃんこ屋も授受の現場になったという。

 田中氏は08年に理事長に就任し、現在5期目。特捜部は背任事件で田中理事長の自宅を捜索し、1億数千万円の現金を確認。井ノ口被告らの共犯としての背任罪の立件は見送ったが、脱税容疑について東京国税局と合同で調べてきた。

日大「誠に遺憾」

 日大は29日、「理事長の逮捕は誠に遺憾。捜査に全面的に協力する」というコメントを発表した。朝日新聞の取材に広報課は、理事長職の取り扱いについて「早急に対応を検討する」と回答。現金受領に関しては「従来の聞き取りでは受け取っていないと聞いていた」とし、引き続き調査する意向を示した。

 田中理事長は今回の問題で一度も公の場で説明していない。ある大学幹部は「13年間の恐怖政治、ワンマン体制にようやく終止符が打てる」と話した。