第2回「投資の民主化」か「悪魔の金」か…ビットコイン・ビーチで見た現実

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ソンテ〈エルサルバドル南西部〉=岡田玄
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 ビットコイン(BTC)を法定通貨にすることを決めたエルサルバドル政府が、その際に、参考にしたのではないかと言われる村がある。ソンテという人口3千人ほどの小さな漁村だ。別名、ビットコイン・ビーチ。

 標高約650メートルのサンサルバドルから南西に山を下り、車で1時間ほどのところにある。細々と行われてきた漁と、長期滞在するサーファー向けの宿や食堂が村人の主な収入源だった。そんな村で2019年夏、ビットコインを使った支払いが急に始まった。仕掛けたのは「希望の家」という非営利団体だ。

 「政府の視察なんてなかったけど、大統領が村のことを知っていたのは間違いない。経済誌で特集されていたし、大統領自身がビットコイン・ビーチについてツイートした」。希望の家の発起人の一人、ロマン・マルティネスさん(30)は昼飯の、トマトソースで煮込んだ鶏肉をかけたご飯をほおばりながら言った。

匿名の投資家から託されたというビットコイン

 なぜ、この村だったのか。そう尋ねると、マルティネスさんは言った。「漁師の息子に生まれた。村での夢なんて、アメリカに行くことしかなかった。友人、知人、親戚……たくさんの人が危険を冒してアメリカへ行った」。劇のせりふを暗唱するように、一方的に話を進めた。「村で生まれた4人で始めたのが、この希望の家だ。若者が国を離れず生きていけるように、英語やコンピューターの教室をやったり、奨学金を出したり。運営資金は寄付を募ってまかなってきたけど、3年近く前かな、BTCでの寄付があった。すべてはそこから始まったんだ」

「ビットコイン・ビーチ」で使っている独自のアプリ。「とにかくやってごらん」と勧める店員。記者も自分のスマホにアプリをダウンロードし、登録してみると…記事の後半で紹介します。

 謎めいた話だ。寄付したのは…

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