33歳で職人デビュー 新潟・燕の銅器200年を支える女性の心意気

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木村裕明
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凄腕しごとにん

写真・図版
「鳥口」と呼ばれる鉄の棒に銅板を当て、金鎚(かなづち)で黙々とたたく。時に強く、時に繊細に。注ぎ口の部分をたたくときは「一番緊張します」。背景に並ぶ鳥口は差し替えながら使う=新潟県燕市、工藤隆太郎撮影

玉川(ぎょくせん)堂 職人 松川千香美さん(45)

 カン、カン、カン。天井が高い畳敷きの作業場に金属音が響く。上がり盤と呼ばれる穴の開いたケヤキの台に座り、穴に差し込んだ鉄の棒に銅板を当てて、ひたすらたたく。縁を起こすようにたたき、皿のような形に成形しながら、器の口径を縮めていく。たたいて硬くなった銅は火にくべて赤くなるまで熱を加え、水で冷やして軟らかさを取り戻す。その銅板を再びたたく。

 黙々と続く銅との格闘。一打一打の繰り返しによって、平らな銅板が徐々に銅器へと姿を変え、立体的な造形美を作り出す。人並み外れた根気の要る作業だ。

 「好きじゃないと、できませんね」

まつかわ・ちかみ 1976年生まれ。愛媛県の短大を卒業後、派遣などの仕事をしながら絵の勉強を続ける。2007年から2年間、京都伝統工芸大学校で鍛金などを学び、10年3月に玉川堂に入社した。

 金属加工業の集積地、新潟県燕市の伝統工芸品「鎚起(ついき)銅器」の技術を守り続ける玉川(ぎょくせん)堂の職人になって12年目。創業200年余の老舗で初の女性の職人だ。男性ばかりの職場に飛び込んだ当初は、気を張っていた。珍しいものを見るような視線を感じ、「空気になりたいと思っていた」と笑う。

 それでも、仕事は楽しかった…

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