「犯罪集団」が乗っ取った病院の惨状 特命医療チームが立ち向かった

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編集委員・須藤龍也
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ランサムウェア攻撃をきっかけにシステムがダウンした町立半田病院=2021年11月15日午後1時45分、徳島県つるぎ町、須藤龍也撮影
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 地方の病院に突然襲いかかったサイバー攻撃によって、病院の機能は停止した。

 患者の診察記録を預かる電子カルテが読めない。救急や新規患者の受け入れを中止し、手術も可能な限り延期する――。病院の医師は実感を込めてこう語った。

 「これは災害だ」

 朝日新聞デジタルでは、未曽有の脅威に立ち向かう町立半田病院のルポ(https://www.asahi.com/articles/ASPCW5SYHPCSULZU00Z.html)を11月27日に掲載した。

 「災害」という言葉の通り、事態の収束に向けて真っ先に動き出したのは、大規模災害や大事故などの現場に駆けつける災害派遣医療チーム「DMAT(Disaster Medical Assistance Team)」を中心としたメンバーだった。

     ◇

 病院がある徳島県つるぎ町は、四国山地を横切る吉野川沿いに発展した人口8千人ほどの町だ。

 中山間地域の医療を支える半田病院で10月31日午前0時半、事件は起きた。

 この日、当直に入っていた医師、河野誠也さんは、同じく当直勤務の看護師から異変を知らされた。

 「パソコンの調子が悪いようです」

 電子カルテが使えたり、使えなかったり。これでは救急の受け入れに支障が出る。

 午前3時過ぎ、病院のシステム担当者が呼び出された。サーバーのある病棟へと向かった。

 サーバーに異常が生じても、バックアップがあればなんとかなるだろう。河野さんはこの時、すぐに復旧すると考えていた。

 システム担当者とすれ違った。「パパっと直してください」。冗談交じりに、そんな言葉をかけた記憶がある。

 だが早朝になっても、電子カルテは使えなかった。サーバー室にはまだ、システム担当者がいた。

 そこで河野さんは思いもよらぬ原因を聞かされた。

サイバー攻撃ですべてのシステムがダウンした病院。対処に当たったのは災害医療チーム「DMAT」のメンバーでした。どのようにして「最低限の医療」を維持するのか。役に立ったのは、南海トラフ地震を想定した対応策でした。

 「ランサムウェアにやられま…

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