入国停止、来日できない留学生 1千人待ちの東大「教育環境の試練」

[PR]

 新型コロナウイルスの「オミクロン株」対応で、政府は外国人の入国停止に踏み切った。3週間前に留学生や技能実習生、ビジネス関係者らの入国を認める緩和策を打ち出した矢先の方針転換に、受け入れ側からは落胆の声が上がった。

 「やっと来てもらえると期待していたのですが。正直、混乱しています」。東京外国語大東京都府中市)の長田広介・留学生課長補佐は肩を落とした。11月8日の制限緩和を受け、同大の学位を取るために入学した「正規留学生」の来日の手続きを急いで進めていた。対象は来日を待ちながらオンライン授業を受けていた13人。年内に入国し、隔離も終えられるように文部科学省の「審査」をパスし、ビザを取れば入国できるはずだった。隔離先である学内の寮に移動するバスも手配を詰めていた。「水際対策の重要性は承知しているが、留学生たちはどれほど残念がるか。気持ちを察すると言葉もない」。交換留学では、同大の学生が次々と海外へ飛び立った一方、100人以上が来日できないまま。来春の受け入れの遅れも心配する。

「研究分野の遅れは深刻」

 11月上旬時点で秋入学者の見込み数を含め、約1千人の留学生が入国を待っていた東京大。林香里副学長は「厳格な隔離や検査への態勢を構築しているところだったので悔しい」と話す。キャンパスで言語や文化の多様性が乏しくなる影響について「留学生の問題ではなく日本人学生の教育環境の試練だと多くの人に知ってほしい」。また、海外のエンジニアや研究者も来日できず、研究分野の遅れは深刻だと指摘する。「応急対応として国境を再び閉じるのは理解できるが、同時に開けるための見通しを示し、準備や態勢を整えてほしい」と話した。

 秋田市国際教養大も、来春の交換留学生への影響を気にする。3月後半に入国してもらうため、在留資格認定に向けた書類を90人分、30日にも入国管理局に送る予定だ。入国後に滞在してもらう成田空港周辺のホテルも手配した。米田裕之・事務局次長は「現時点で事務手続きが停止という話ではないが、影響で滞るのではと不安もある。来春には、日本人と留学生が共に学ぶ環境を取り戻せると信じている」と語った。

 南山大学名古屋市)では留学生約100人が入国できない状態が続いている。昨年9月に入国予定だった約10人が今月8日の制限緩和を受けて手続きを進め、早ければ12月中旬に入国する予定だったという。留学の受け入れを担当する国際センター事務室の大沢優隆室長は「長く待っている学生があと少しで入ってくるところだった。先が見えず不安やストレスを抱えていると思うので心配」と話した。

 世界95カ国・地域の2535人の留学生が所属する立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)では、政府が留学生の新規入国を認めた今月8日以降、これまで入国できずにいた留学生に対し、オンラインでビザ申請の手続きを始めていた。

 在留資格認定証明書を持ちながら入国できない同大の学生は54カ国・地域以上の843人にのぼる。日本政府は留学生が集中して入国することがないように、段階的に受け入れる方針を示している。そのため、大学では今月と来月の申請対象を229人とし、そのうち約100人が申請を進めていた。学生によっては、早ければ12月下旬にも入国可能とみられていた。

 大学によると、オンラインによる申請は締め切らないが、申請後の日本国内の手続きは中断するという。今後、申請内容の条件変更が想定されることも、事前に学生に通知する予定だ。

 大学の広報担当者は「タイの学生から『やっと入国できる。友だちにプレゼントするゾウのキーホルダーを用意している』と喜ぶ連絡を受けたばかりだった。入国禁止の措置にショックを受ける学生もいると思うので、ケアをしていきたい」と話す。

人手不足の労働現場にも痛手

 農業から製造業まであらゆる…

この記事は有料会員記事です。残り1519文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[記事一覧へ]