「カムカム」アームストロングの名曲から考える 日なたの道の意味

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土井恵里奈
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 安子、家を出る――。我が子とふたりきり、汽車で大阪へ。家族も家も戦争によって奪われた主人公の旅立ちに寄り添ったのは、ルイ・アームストロングの名曲だった。

 11月30日の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」は、主人公の旅立ちと自立を描いた。家族を亡くし、娘とも引き離されそうになった安子は、嫁ぎ先を出る決意をする。夜逃げ同然で我が子を背負い、汽車に乗り込む。

 過酷なシーンだが、息をのむほど美しい場面でもある。

 夜明け前の道を歩く安子を、次第に朝焼けが包む。朝日を浴びながら、安子が口ずさむのが「On the Sunny Side of the Street」(明るい表通りで)。喪失感とかすかな希望が交錯する。

 「♪Grab your coat,grab your hat baby/Leave your worries on the doorstep」(コートをつかんで、帽子を取って、心配ごとは玄関に置いて)

「るい」の名の由来

 軽やかなメロディーで始まるこの曲は、安子と稔の思い出の曲だ。訪れたジャズの喫茶店で聴いた曲を、2人は文通の手紙にしたため、距離を縮める。大阪と岡山で離れ離れだった2人はやがて夫婦となり、生まれた子に「るい」と名付ける。この曲の歌い手、ルイ・アームストロングの名前をもらって。

 愛する人を失ってもなお、歌は安子の背中を押す。娘とふたりきり。慣れない大阪の駅に降り立った安子はその後、手作りの芋あめの行商で生計を立てようとする。

 どこが日なたの道なのか――。安子の姿に、そう思う視聴者もいるかもしれない。

2代目主人公るいの名前の由来となったルイ・アームストロングの名曲「On the Sunny Side of the Street」。安子と稔がひかれたこの曲はどんな時代に生まれたのか。ルイ・アームストロングはどんなミュージシャンだったのか。記事後半では、物語を彩るジャズの世界をひもときます。

 最愛の夫を亡くした主人公の…

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